1回戦
12月31日(水)/14:10キックオフ/東京都・西が丘サッカー場/観客2673人/試合時間80分
那覇西 2(2-0、0-1)1 秋田商
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那覇西が2-0でリードして迎えたハーフタイム、応援スタンドからは、サッカー会場ではあまり馴染みのない音楽が聞こえてきた。ゆったりとしたリズムが心地よい琉球のメロディーは、沖縄県代表・那覇西のプレースタイルに通ずるものがあった。
開始3分。那覇西GK①南風原一士が蹴ったライナー性のボールは、秋田商の中盤、DFラインをスルーしてFW⑨城間清太の足元へ。慌ててDFがついていくも、時すでに遅し。⑨城間はあっさりと先制点を決めてみせた。
「センターバックのマークが中途半端だった。ルーズなマーキングが悔やまれる」(秋田商・長谷川大監督)
全国大会の初戦ということで、緊張感がありありだった秋田商に対して、那覇西は伸び伸びとプレーしていた。ドリブルあり、ワンツーあり、サイドチェンジあり、と自由奔放な攻撃で秋田商をどんどん押し込んでいく。こういった攻撃ができるのは、那覇西の選手のボールタッチに理由があると思う。他の学校の選手と比べて、那覇西のボールタッチはちょっと「変」なのだ。
ピッチレベルで撮影していたカメラマンいわく「沖縄の選手は腰から下が柔らかい」のだという。だから、ほんのわずかだがボールを長く持てるので、敵の動きを見て裏を突くことができる。前半、秋田商はドリブルを読んだらパスを出されて、パスを読んだらドリブルをされてと何度も裏をかかれていた。
攻撃時にポジションが「ファジー」になるのも那覇西の特徴だ。よく見られたのが、FWの選手が下がって敵DFを引きつけて裏のスペースを空けて、そこにロブのボールを出して中盤が飛び出すというプレー。31分の2点目はまさにこの形から生まれた。横パスをワンタッチで⑦糸数昌平が前方のスペースへ落とす。2列目から飛び出したボランチの⑧仲村將希は完全なフリー。こうした1列目(FW)と2列目(MF)があいまいになった瞬間はマークが外れやすい。
秋田商の攻撃はDFラインからのアバウトなロングボールか、ワイドに開いた左の⑮鎌田一平と右の⑪草彅翼のドリブル突破がほとんど。4-2-3-1の後ろの6人と前の4人が完全に乖離(かいり)してしまっており、那覇西のような攻撃時の連動性が生まれない。前半はほとんど持ち味を出せないまま終わった。
2点差はサッカーではセーフティーなリードではない、なぜなら1点を取ったチームは勢いがつくし、取られたチームには焦りが生まれるから……。これはサッカーの格言のような言葉だが、これは高校選手権に非常によく当てはまる。点差による精神的な揺れがゲームに面白いほど反映されるのだ。
後半26分、秋田商は前半以上に仕掛けの姿勢がアップした左サイドの⑮鎌田が、1対1で敵を振り切りゴール前へクロス。このボールをファーで右サイドバックの②佐藤航が折り返し、⑰菅原嵩が豪快に叩き込んだ。まず1点。ここから秋田商が怒とうの反撃を見せた。
31分には⑳斎藤純平がヘディングでゴールネットを揺らしたかと思われたが……オフサイドフラッグが上がった。足が止まった那覇西に対して、秋田商はどんどん運動量が上がっていく。セカンドボールを拾ってはサイドに展開して、ゴール前にクロスの雨を降らせる。秋田商の同点ゴールが近づいていた、そんなときだった。
那覇西の応援スタンドからは、ハーフタイムに演奏されたあの音楽が聞こえてきた。必死で戦っている選手の耳に届いていたかはわからないが、この「自分たちの音楽」が応援スタンドから流れてからの那覇西は、2点リード時のような落ち着きを取り戻し、マイボールで蹴り出さずにパスをつないでコーナー付近でキープ。2-1で何とか逃げ切った。
那覇西・松田邦貴監督
「勝ててよかった。先制点が早すぎたのかもしれない。スペースを狙う攻撃を考えていた。試合前に選手たちにいったのは、ボールを奪って、ゴールを奪おうというサッカーの根本的なところ。秋田商にサイドをえぐられることが多かった。サイドの守備がいちばんの課題です。2回戦では全体的なバランスを調整しながら、強気にやりたい」
那覇西・⑨城間清太
「立ち上がりから裏を狙っていた。次の試合でもゴールを決められるように頑張りたい。勝因はチームが一つになって、最後までボールを追いかけたこと」
秋田商・長谷川大監督
「前半はあまりにもひど過ぎる。センターバックのマークが中途半端だった。ルーズなマーキングが悔やまれる。もっとボランチからビルドアップをしてつなぎたかったが、センターバックがパニックになって蹴り始めてしまった。今年のチームは後半の粘り強さがあるが、裏を返せば反応が鈍いところがある。後半のような戦い方を最初からするようにアプローチをしてきたつもりだったが……。2点を取られてから吹っ切れるのでは、全国では勝負できない」 |