1回戦
12月31日(水)/14:10キックオフ/埼玉県・さいたま市駒場スタジアム/観客1285人/試合時間80分
近大和歌山 2(1-1、1-0)1 北海
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高校を含め、育成年代において、結果より内容を求める指導者は多い。どれだけ練習でやってきたサッカーをピッチ上で表現できたか――。その意味でいうと、勝者は北海だっただろう。しかし軍配は近大和歌山に上がっている。試合後、勝敗を分けた要因を北海の島谷制勝監督は「試合巧者」という言葉で表した。
前半13分に失点を喫し、ドタバタ感が見られた北海だが、15分過ぎから息の合ったショートパスと前線のキープ力でペースを握った。特に攻撃の牽引役となったのが、左MF⑩西村啓。足裏を起用に使った懐の深いキープ力と、シザーズとボディーフェイクを入れたドリブルで、左サイドから何度も好機を演出した。そして27分には、⑩西村が得たCKから同点弾が決まる。その後もボールを支配した北海がゴール前に迫るが、シュートの精度を欠き、ネットを揺らすことができなかった。
北海は後半も小気味よく攻め立てた。⑩西村がDFを引き付け、そのすき間を縫って、1トップの⑨東海尚哉がスピードを生かした突破を見せた。何度もシュートまで持ち込んだが、わずかに精度が低く、近大和歌山のGK①辻柾次の網に引っ掛かってしまう。ボールは回るが、シュートが入らない状態に、ベンチの島谷監督は苦り切っていた。「仕掛けや崩しができていることで、選手は満足してしまっている」。選手が感じていたその満足感は、最後の最後でわずかなスキを生んだようだ。
近大和歌山は後半ロスタイムに、相手の緩みを突き、CKから③徳田雄大が見事なジャンプヘッドを決めた。この結果だけ見れば、よくある「粘り勝ち」に見えるが、実は勝利への伏線がいくつも張られていた。
この日はセットプレーのチャンスが何度かあったが、いずれもポジショニングに変化をつけていた。特に1度目のCKは特異なものだった。走り込む選手がファーサイドに集まり、蹴る直前に一斉にニアに走り出した。このときは、ボールが低過ぎてニアでクリアされている。しかしロスタイムに訪れた2度目は、オーソドックスなスタイルでそれぞれが適切なポジションから走り込んでいる。相手の目先を変えたことで、③徳田は大外からフリーでたたき込むことができた。
変化をつけたこのセットプレーは、「夏場過ぎから時間を掛けて練習を重ね、1試合1得点を目標にしてきた」(川合廣征監督)という。県予選の決勝では、セットプレーからDF④岩橋香季が2得点を決めている。自分たちの武器を最大限に磨き、少ないチャンスでゴールを決める。この勝利を引き寄せる長期的な戦略こそ、北海との差だったようだ。
近大和歌山・川合廣征監督
「昨年はこの舞台で2回勝たせてもらったが、今回はそれ以上が目標。ここで負けるわけにはいかなかった。北海さんはうまかった。寄せの速さには本当にまいった。CKで同点に追いつかれて、ズルズルとDFラインが下がってしまった。負けなくて本当によかった」
近大和歌山・③徳田雄大
「(決勝ゴールは)⑦木村(祥吾)君のボールがよかったので、触るだけだった。次も気持ちで負けずに前からいこうと思う」
近大和歌山・④岩橋香季
「うちらしいサッカーができなかった。相手にサッカーをやられた。きつかったのは、後半途中ぐらいから。ここは我慢しようと声をかけ合った。中盤の守備が甘くなって、ボールを回されて、サイドチェンジでチャンスを作られてしまった」
北海・島谷制勝監督
「選手はよく頑張っていた。前線からのプレスと3ラインコンパクトは北海のサッカー。機能している時間帯もあったが、お互いがよさを出し合った試合だった。前半、均衡するのはわかっていた。後半に押し込んで自分たちのサッカーができたと思う。今の高校サッカーは前線で時間がない。ワンタッチでのシュートなど、素早くゴールを狙うところを深めていきたい。そして近大和歌山さんみたいに、試合巧者でありたい」
北海・⑤兼子到
「(最後のCKは)ラスト1分を切っていたのはわかっていた。あの時間帯は危険なので、まずいと思った。CKを招いたのは、その直前のFK。その前に何とかしなくてはいけなかった。合宿でやってきたことは試合で出せていた。決める力が足りなかった。ビデオを見てセットプレー対策をしていたが……」 |