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第87回全国高校サッカー選手権大会 レポートコラム Supported by gol.japan (株)カレッジリーグ エーライン事業部

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トーナメント表
大会概要
2008/12/30

第87回全国高校サッカー選手権大会

清水英斗(ストライカーDX編集部) 取材・文

1回戦(開幕戦)

12月30日(火)/13:10キックオフ/東京都・国立競技場/観客8763人/試合時間80分

鹿島学園 1(0-1、1-0、PK3-2)1  一条

得点者
(鹿)阿渡
(一)原田

ポゼッション志向対決!
激闘を制したのは……?

 4-4-2の中盤をボックス型にしたシステム。そして、ボールポゼッションを基本としたチームコンセプト。第87回大会の開幕戦は、まるで鏡を見るかのごとく、非常によく似たチーム同士の対戦となった。

ギリギリのぶつかり合いは人の感動を呼ぶが、それでは選手権の連戦を勝ち抜くことができない。今回はボールをつなぐという試みで臨む、初めての大会だった」(一条・前田久監督)

 中1~2日で試合が行われる高校サッカー選手権のレギュレーションを考えれば、蹴って走る戦いを避けて、体力の消耗を抑えながら勝ちを目指すことは理にかなっている。両校とも、1回戦の1勝を目標に掲げるチームではなく、その先を見据える常連校だけに、同じような戦術コンセプトで対じするのも、自然なことだったのだろう。

 互いにゆずれぬコンセプト……のはずだったが、試合が始まってみれば、ボールポゼッションでは鹿島学園が終始、一条を圧倒する展開になった。

 前線の⑨忍穂井大樹がサイドに流れてパスを引き出し、中央では⑪三橋隼斗がポストプレーで体を張る。そして空いたスペースへ⑧工藤由夢が走り、⑩小谷駿介と絡んでチャンスメーク。さらに右サイドバック②阿渡真也の活発なオーバーラップも、一条ディフェンス陣を大いに悩ませる要因となった。

 一条にとって、パスサッカーへのこだわりは今年度が初めてのチャレンジだ。今までに積み上げたものはない。それに対して、ポールポゼッションスタイルを基本として2年前の選手権でベスト16に残ったのが鹿島学園。彼らは確実に、先輩たちの伝統の力を受け継いでいるようだった。

 しかし、一条もそんな苦境に対して、クレバーな対応力を発揮する。

 鹿島学園がパスを回している間、一条の右サイドMF⑨原田光、左サイドMF⑧岡本一馬のどちらかは必ず逆サイドに張り、静かにカウンターアタックのチャンスを待っていた。そこへ、ボールを奪った⑮中城諒や⑦小峠大樹から素早くサイドチェンジ。

 ショートパスを主体とする鹿島学園のコンパクトな陣形、果敢にオーバーラップするサイドバックの弱点を突いていく。

 そして前半31分、中盤のボール奪取から、素早く左サイドで待っていた⑧岡本一馬へサイドチェンジ。ここからクロスを供給し、混戦となったゴール前からのこぼれ球を、⑨原田が拾って左足でシュート。相手の裏をかく4、5回目のサイドチェンジが実り、一条は大会初得点を記録した。

 そしてハーフタイム。ボールポゼッションを取りつつも、なかなか効果的な縦パスを入れることができないチームに、鹿島学園・鈴木雅人監督が声をかける。

「後半はもっと思い切っていこう」

 これがキッカケとなったのか、後半は⑦小黒翔太、⑩小谷が積極的な仕掛けを見せるようになり、パスサッカーだけでなく、ドリブルでアクセントにつけながら一条を攻め立てる。

 必死でゴールに鍵をかける一条だったが、鹿島学園の厚みのある攻撃の前に、体力、精神力の消耗が重くのしかかった。ゴール近くでFKを与えたり、⑪三橋に危険なミドルシュートを打たれる場面が増えてくる。鹿島学園の決定力不足もあり、なんとか紙一重で耐えていた一条だったが……。

 後半17分、鉄壁のディフェンスを破ったのは、鹿島学園のキャプテン、②阿渡だった。⑩小谷の左CKに対して、ファーサイド側から走り込みながら、ジャンプ。高い打点から豪快なヘディングを一条ゴールへ突き刺した。

「みんなが頑張っているのが伝わったので、それに応えたいと思っていた。1日でも長く、このメンバーで戦えるように頑張りたい」(②阿渡)

 鹿島学園は辛うじて同点に追いつき、その後も一条を追いつめるが、試合はこのままタイムアップ。開幕戦からPK戦にもつれ込むことになった。

 先攻は一条。1人目のキッカーは前半にゴールを決めた⑨原田。

 これは自分の思い込みかもしれないが、試合中にゴールを決めた選手は、PK戦のシュートを外すことが多いというイメージがある。何と⑨原田はこのシュートを枠の外へ蹴ってしまい、さらに2人目、得点のチャンスメークをした⑧岡本一馬もGKにセーブされてしまう。

 結局、PK戦は3-2で鹿島学園が勝利。2回戦に駒を進めることとなった。非常にすがすがしい開幕戦だった。

 しかし、一つだけ苦いことをいわせてもらえば、両チームともPK戦のキッカーにFWの選手が1人も選出されなかったことを寂しく思う。どちらのチームも、MF、もしくはDFの選手がPKを蹴っている。

 FWの選手が、シュート技術、GKとの駆け引き、PK戦のプレッシャーに打ち勝つことが不得手となると、決定力不足も何ら不思議なことではない。

 次にPK戦を行うときは、ぜひ、「オレが蹴る!」と名乗りを挙げてほしいと思う。

鹿島学園・鈴木雅人監督
「一条はいいチームだった。巧みに守られ、果敢に攻められてゴールを決められてしまった。後半はもっと思い切っていこうという話をして、結局、セットプレーでしか点は取れなかったけど、攻めることができてよかった。今年はDFに大きな選手がいたので、セットプレーはあまり小細工をしないでいこうといっていた。選手たちには、『基本を高度に操り、周りをより多く見ることができる選手になってほしい』といっている」

一条・前田久監督
「ボールをつなぐということにこだわって、初めての試みで大会に臨んだ。今年やりかけたことが、次につながると思う。3年生はいなくなってしまうが、私がここにいる限りは、次に伝えていきたい。今年は選手たちでお金を出し合い、3月にバルセロナへ10日間の遠征に行った。他にも韓国へ行ったり、来年はオーストラリアの国際大会にも招待を受けている。選手にとっていい経験になっていると思う」

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