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Match Report マッチレポート

第86回全国高校サッカー選手権大会

トーナメント表
大会概要

2008/1/6

第86回全国高校サッカー選手権大会

清水英斗(本誌) 取材・文

準決勝

1月6日(日)/12:10キックオフ/東京都・国立競技場/観客17865人/試合時間80分

流経大柏 6(1-0、5-0)0  津工

得点者
(流)大前4、保戸田、田口

 流経大柏が、ショートパスサッカーを信条とする津工のサッカーを完全シャットアウト。個人のスピード&テクニックと、圧倒的な運動量に支えられた組織を見事に融合させたスタイルで決勝進出を果たした。

 振り返れば、津工が"らしさ"を発揮できたのは前半の10分までだった。⑥花木真佐雄を経由したサイドチェンジによってチャンスを作り、さらに注目のドリブラー⑧松葉司&⑨飯田裕之によるキラリと光る突破が見られたが、それは長くは続かなかった。

 流経大柏は、全員がサボらずに走り続け、津工のショートパスサッカーの心臓となるボランチの位置にプレッシャーをかけてつぶしていく。もちろん津工もそうしたプレスをかわしながらここまで勝ち上がったチームではあるが、流経大柏の出足の早いプレスの前には勢いを失った。

 そうやって流経大柏が圧力を高めていく中、均衡を破ったのは⑩大前元紀だ。

 前半27分、左サイドで⑳田口泰士のサイドチェンジを受け、ドリブルで敵DFとの間合いをつめていく。そこからキレのいい切り返しで中央に持ち出し、右足を振り抜いた。ボールはファーポストの内側を叩いてゴールイン。ここまで周囲の期待を浴びながら、なかなか期待にこたえる活躍を見せられなかった⑩大前から、待望の先制点が生まれた。

 ⑩大前はこのシーンだけを見ると簡単に決めたように見えるが、前半10分、19分に見せた縦方向へのドリブル突破がいい布石になっていた。再び縦に抜かれることを警戒した敵DFは、突破を警戒して間合いをつめることができず、⑩大前にシュートを打つスペースを与えてしまっていた。それを見逃さなかった⑩大前のセンスはさすがというべきか。

 後半に入るとますます両チームの差は広がり、一方的な展開となった。

 流経大柏は、ハーフラインを超えることすら許さないプレッシングで、津工を自陣に釘付けにした。津工のクサビのボールはことごとく流経大柏に跳ね返されていく。そして2点目はこの展開の中から生まれた。

 左サイド自陣深くでボールを拾った津工の縦パスを、⑦中里崇弘がカットして素早くファーサイドへクロスを上げる。そしてこれをヘディングで合わせたのは、またしても⑩大前。このエースの2得点で試合は完全に決まった。

 この後も⑩大前はさらに2得点を追加して、今日は4得点の大爆発。さらに⑪保戸田春彦と⑳田口もゴールを挙げ、流経大柏は6-0の完勝で決勝進出を決めた。

 しかし、敗れたものの、津工の勇気と信念には大いに共感する部分があった。

 準々決勝の東福岡戦のように、流経大柏のエース⑩大前は、敵チームからガチガチのマンマークをつけられるのが宿命のようなところがあった。しかし、津工はそういったリアクション戦術を取らず、自分たちのショートパスサッカーを信じて真正面から王者にぶつかっていった。

 結果は0-6の敗北。しかし、美しい敗北だったと思う。

 津工・藤田一豊監督が、「人が見る"夢"に送り仮名をつけると、"儚(はかな)い"と読みます」と記者会見で語ってくれた通り、高校サッカーにおける夢は非常に儚く、そして時に残酷な結果を投げつけることがある。

 しかし、その結果を恐れることなく勇気を持って戦い、自分たちのスタイルのまま散っていった津工。

 賛否両論あって当然だが、僕自身は大きな共感を覚えた。

流経大柏・本田裕一郎監督
「ミーティングでは、前半10分くらいまではリスクを冒さないように失点0でいこうという話をした。全日本ユースで優勝した後、迎えた選手権の県大会決勝は学校の試験直後だった。勉強するなとはいえないし、選手たちもメンタルの切り替えができないまま大会に入ってしまった。本人たちは大丈夫っていってるけど、疲れはあるんじゃないかと思います。明日からまた学校も始まるけど、本当は2、3日休ませてあげたい」

流経大柏・⑩大前元紀
「今日はでき過ぎだと思います。ゴールを決める自信はあったし、1点取れば波に乗れると思っていたけど、まさか4点も取れるとは」

津工業・藤田一豊監督
「”絶対にあきらめるな! 夢は必ずかなう!!”という今年のスローガンは、選手を鼓舞するという意味でありがたかった。私は思うんです。結果がそれほど大事なのかなって。今日ウチは6点取られて負けましたが、悔しかったのはそんなことじゃない。自分たちのサッカーが流経大柏には通用しなかったこと。それがいちばん悔しかった。ウチは結果として準決勝まで4試合を戦うことができたけど、1回戦で敗退したチームともう一度対戦したら勝てるかなんて、誰にもわからない」

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