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Match Report マッチレポート

第86回全国高校サッカー選手権大会

トーナメント表
大会概要
2008/1/3

第86回全国高校サッカー選手権大会

北健一郎(本誌) 取材・文

3回戦

1月3日(木)/14:10キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客10018人/試合時間80分

三鷹 2(2-0、0-0)0 宮城工

得点者
(三)繁澤、白井

 三鷹旋風が止まらない。三鷹が宮城工に2-0で勝って、都立として史上初のベスト8進出を決めた。

 1試合目を戦い終えた広島皆実と作陽の監督と選手のコメントを取っているうちに、ピッチでは2試合目が始まってしまった。僕がスタンドに上がったのは前半の6分が過ぎた頃。パッと前方に広がる光景を見た瞬間、思わず「うわっ」と声を挙げてしまった。スコアが動いていたわけではない。バックスタンドの観客数の激増ぶりに驚いたのだ。

 公式記録によれば入場者数は1試合目が5445人で、2試合目が10018人。この数字は総入場者数だから、1試合目から2試合目までに5000人近くも増えたことになる。5000人のほとんどすべての人が、三鷹の応援のために来たといっても過言ではないだろう。会場内は三鷹の応援ムード一色に染まっていた。

 ただ、いくら“ホームアドバンテージ”があっても、宮城工は前日に鹿児島実業を3-0で完勝しているチーム。三鷹の健闘はここまでだろうと思っていたが、その予想は見事に覆された。

 11分、三鷹はハーフウェイラインを越えたあたりでのFKを、⑤酒井大樹がゴール前へフィード。これを混戦の中で④繁澤健太がバックヘッドすると、宮城工のGKがつかみきれず後ろにこぼしてしまう。ゴールラインを割るか割らないかのところでキャッチしたが、ラインを割ったという判定で、三鷹に先制点が転がり込んだ。

 この日の三鷹は宮城工の2トップの⑪大野友希と⑨酒井宏人に、対人能力の高い④繁澤と⑳林真人をマンマークでつけた。それと共に、彼らFWへの配球役であるボランチの⑩佐々和彦に対して、通常時は左サイドハーフの⑱炭谷翔が中に絞ってプレスをかけた。

 これが見事にハマった。宮城工の心臓部分である⑩佐々を押さえることに成功したのだ。FWへパスを出そうにも、敵が影のようにピッタリとくっついているので出せない。ボールを前に出したいが、出せずに詰まってしまう――いわゆるノッキングと呼ばれる現象が、宮城工の攻撃では起こっていた。

 攻撃面では、三鷹は守→攻の切り替えで、数的優位を作って点を取るという狙いがハッキリしていた。24分の2点目はその象徴的なものである。敵がDFラインからビルドアップしようとしたパスを⑭玉江裕貴がカット。すると、FWの⑩白井豪が敵の背後に回り込んでボールを呼び込む。GKと⑩白井の中間地点へ、⑭玉江が浮き玉のパス。後ろから来た難しいボールだったが⑩白井はピタッと足元に止めると、飛び出してきたGKを冷静に左へかわし、チームに貴重な2点目をもたらした。

 2点のビハインドを背負ったことで、宮城工は攻撃のレベルを上げてきた。しかし、三鷹は見ようによっては5バック、6バックとも呼べそうな全員ディフェンスで跳ね返していく。DFラインはPKスポットの辺りまで下がっているし、とにかく人数を揃えてどこかに当たってくれという守り方は、同じ会場で1試合目を戦った2チームが見せた洗練された守備戦術とは対照的ですらある。それでも、三鷹の気持ちのこもったプレーは、見るものに訴えかけるものがあった。

 この試合を観戦していた三鷹OBの記者によれば、この「ゴチャゴチャディフェンス」は三鷹高校サッカー部に脈々と引き継がれている伝統なのだという。山下正人監督が「高校生なんて気持ちでどうにでもなるもの」と語ったように、2-0でリードしたことで精神的にも優位に立った三鷹が、CB③堀江俊介をFWに上げた宮城工のパワープレーにも屈せず、2-0で勝利を飾った。

 3度目のお立ち台となった山下監督は、「都立として史上初のベスト8進出です!」と力むアナウンサーの問いかけに対しても、「夢みたいですね」といつもどおりの飄々(ひょうひょう)とした受け答え。準々決勝の意気込みを聞かれると「次で力尽きるかもしれませんが、最後まで頑張ります」と返した。

“無欲”で勝ち進んできた三鷹の次の相手は静岡県代表・藤枝東。ベスト8の中で最も「格差」があるであろうこのカードが、どんな結末を迎えるのか興味深い。

三鷹・山下正人監督
「夢みたいですね。次で力尽きるかもしれませんが、最後まで頑張ります。次は(市原臨海競技場)ちょっと遠いですけど、応援よろしくお願いします」

三鷹・⑩白井豪
「素直にうれしい。多くの人が応援してくれたので、期待に応えられてうれしい。(開幕戦を戦った)国立に帰りたいので、次も絶対に勝ちたい」

宮城工・宍戸清一監督
「修正が利かないまま前半が終わってしまって、こういうゲームになった。失点を許したことで、リスクを負ってやらなければいけない状態になり、自分たちのペースがつかめなかった。気持ちの面で昨日(2回戦・鹿児島実業戦)のような勢いがなかった」

宮城工・④大友健
「試合前から昨日の試合で満足してしまっている雰囲気があった。(三鷹の応援団は)相手の力になっていたと思う。正直、やりづらかった。前半から後半のプレーができていれば、少なくとも0-0ではいけたはず。最初に失点したことで焦りが出てしまった」

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