2回戦
1月2日(水)/14:10キックオフ/東京都・西が丘サッカー場/観客7666人/試合時間80分
宮城工 3(1-0、2-0)0 鹿児島実
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「こんなはずじゃなかった」鹿実選手たちの心の叫びが聞こえてくるようだった。
23回の出場を誇り、2度の優勝経験を持つ高校サッカー界の名門。最近では、必ずといっていいほど上位に進出。前回こそ代表権を逃したが、代わって出場した神村学園がベスト4に入ったことで、図らずも鹿実がレベルダウンしているわけではないことが証明された。
それだけに、鹿実の圧勝を予想していた人は少なくなかったはずだ。失礼ながら、宮城工という"やりやすい"相手にも恵まれただけに……。しかし、試合開始のホイッスルが鳴ってしばらくすると、そんな予想は見事に裏切られた。
「とにかく気持ちだけは負けるなと送り出した」(宍戸清一監督)という宮城工が、鋭い出足で鹿実を圧倒する。23分までに2枚のイエローカードを受けたことが象徴するように、鹿実のお株を奪うような激しいチェックでゲームを支配。鹿実が初シュートを放つまでに12分という時間を要したほどだった。
鹿実もようやくペースを取り戻してきた29分に、宮城工の先制ゴールが生まれる。キャプテンでスイーパーを務める④大友健の右CKに、ストッパーの③堀江俊介が頭で合わせたものだった。
このとき、2本のCKが連続して宮城工に与えられた。1本目はニアに鋭い弾道のボールを送り、GKの前で合わせようとしたもの。これがDFにクリアされると、今度は一転してファーに送り、ドンピシャのタイミングで合わせた。よくいわれる定石だが、そう簡単に決まるものではない。鹿実を慌てさせた1本目を含め、④大友の正確なキックが呼んだゴールといえるだろう。
先制を許した鹿実も、じわじわと反撃に出る。後半からは22池味隆明を投入してリズムを奪い返したかに見えた。ところが、またも宮城工のワザありのゴールが生まれる。
鹿実の猛攻が続いた時間帯、宮城工がカウンターに出て、⑧遊佐史彦がフリーでパスを受ける。これを、落ち着き払ったループでミドルシュート。前に出ようとしていたGKの裏を見事についたシュートが、ゴール左隅に吸い込まれていった。
「うちにはうまい子はいないから」と宍戸監督はいう。しかし、一人ひとりの技術レベルは間違いなく高い。先制点を引き出した④大友の次のコメントが、監督の言葉を覆す。「技術ではうちが上だから、同じだけ走れれば負けることはない。監督にはそういわれました」
シャレたプレーを見せる高校生を見ることも最近では珍しくなくなったが、軸裏パスや足裏を使ったコントロール、ダブルタッチといったプレーが当たり前のようにできるチームはそうはない。その点では、明らかに鹿実を上回っていた。
しかし2-0となっても、宮城工は安心していなかった。「鹿実はやっぱりすごかった。ビデオで見たようによく走るし、プレスの厳しさはビデオ以上だった。2-0になってそれまでよりも激しくきたから、全然安心できなかった。3点目が入ってやっと勝てると」(④大友)
その3点目はロスタイム。鹿実の猛攻をしのぎ、またもカウンターから鮮やかにゴールネットを揺らした。最後まで宮城工のホットで冷静な試合運びが目立った一戦だった。
宮城工・宍戸清一監督
「第1試合を見ていて、風上のほうが有利だと思っていたので、前半に風上を取れたのはよかった。鹿実のビデオは何度も何度も見た。運動量が多いのはわかっていたので、組み分けが決まってからまずそこで負けないように練習した。そして気持ち。とにかく負けるなと。ファウルが多かったのはよくないけど(笑)。鹿実相手でも、逆に開き直って向かっていけた」
宮城工・④大友健
「元々は右利きだったけど、小学5年のときにオスグット病(成長痛)で左足が痛くなったんです。左足を軸足にすると痛いけど蹴る分には痛くないので、左足を練習しました(先制点につながったCKは左だったが、右足でもセットプレーをキック)」
鹿児島実・松澤隆司監督
「宮城工の気持ちが素晴らしかった。最初からガンガンこられて厳しい試合になるのはすぐにわかった。特に痛かったのは2点目。0-1のままなら終盤にシステムを変えればなんとかなると思っていた。うちにもチャンスはあったが、点を嗅ぎ分ける選手がいなかった。今回のチームには、そういう選手がいなかった。それがこれまでと違っていた点。みんなでなんとかカバーしてここまできたが……。粘ってここまできたのに、あんなに簡単に点を取られては勝てない」 |