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Match Report マッチレポート

第86回全国高校サッカー選手権大会

トーナメント表
大会概要
2008/1/2

第86回全国高校サッカー選手権大会

北健一郎(本誌) 取材・文

2回戦

1月2日(水)/12:10キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客4909人/試合時間80分

広島皆実 2(1-0、1-0)0 帝京

得点者
(広)加藤、松岡

 広島皆実の2ゴールは、どちらもCKから決まったものだった。

 1点目は25分。右からのCKをニアで③松岡祐介が合わせて、このボールがポストに跳ね返ったところを⑦加藤昴が蹴り込んだ。前回大会で3試合連続無失点。今回も県大会の6試合を無失点に抑え、1回戦も完封している広島皆実にとっての「1点」は、他のチーム以上に大きな価値を持つ。

 帝京は前半から左サイドの奥を目掛けて、ロングボールをどんどん放り込んでいった。直接的にチャンスに結びつくというよりは、CKないしスローインを獲得して、セットプレーでゴールを決めようという意図が強かったように思う。

 左サイドのタッチラインを割ったときには、左MFの⑧小磯雅がスピード十分のロングスローをゴール前に投げ込む。この形から4分には⑩新裕太郎がヘディングシュートを、9分には⑪奥山慎がゴール正面からシュートを打っていた。

 帝京・廣瀬龍監督はロングボールを多用する選手たちに対して、ベンチから飛び出して「つなげ」と声をかけたそうだが、帝京のロングボール戦術は成功していたといっていい。中盤でパスをつなごうとしても、津波のように押し寄せてくる広島皆実のプレス網にかかっていたはず。それならば、CKやスローインを獲得して、これに飛び込んでいったほうが「何か」が起こる確率は高い。前にボールを運ぶことでプレーゾーンが高くなり、セカンドボールも拾えていた。

 実際に広島皆実の選手たちは、“名門・帝京”がなりふり構わず放り込みをしてきたことに対して戸惑いを見せていた。25分の先制点が生まれたのは、チーム全体が不安な心理状態になっていたときだった。

「苦しい中でも自分たちの得意とする形で1点取れたのが非常に大きかった」と藤井潔監督が語るように、ニアに走り込む③松岡の頭に合わせるのは、広島皆実がセットプレーで狙っていたもの。たまたま決まったのではなく、狙った形から取ったことは、劣勢を強いられていた選手たちに勇気を与えた。

 2点目は後半に入った53分。1点目と全く同じ左からのCKを③松岡が合わせたシュートで、今度はポストに阻まれずダイレクトにゴールに突き刺さった。1点でも十分なところに2点目が入ったのだから、広島皆実にとっては鬼に金棒である。

 0-2となってから帝京は、センターバックの③浦田をFWに上げて「パワープレー」で1点を取りにいく。「早い時間で1点が入っていたら流れも変わったのでは」と廣瀬監督は語ったが、③浦田の高さをうまく使うことはできず。

「大変残念なゲーム」と廣瀬監督はこの試合を表した。CKから喫した2失点の瞬間は、どちらもニアサイドがエアポケットのようにポッカリと空いてしまっていた。一瞬集中を切らせてしまった帝京と、最後まで集中を切らすことのなかった広島皆実。ゲームに対する「集中力」の差が、勝敗を分けたといえるかもしれない。

 広島皆実は2試合で5得点無失点。緑に黒の縦縞が入ったユニホームが「スイカ」を思わせるチームが、選手権最多優勝回数を誇る名門を下し、3回戦に駒を進めた。

広島皆実・藤井潔監督
「最初の時間帯は、帝京の前に前にくる力に押され、セカンド(ボール)も拾われて、苦しい時間帯だった。苦しい中でも自分たちの得意とする形で1点取れたのが非常に大きかった。去年、苦しいときに決められなかったことが、今年に生きていると思う」

帝京・廣瀬龍監督
「大変残念なゲーム。同じミスを繰り返して、出来としては最悪です。この大会では帝京の良さを出せなかった。ウチのいいところを出し切って負けたのであれば、まだ良かったが……」

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