準決勝
1月6日(土)/14:10キックオフ/東京都・国立競技場/観客9496人/試合時間80分
盛岡商 1(0-0、1-0)0 八千代 |
「天候が悪く、グラウンドがよくない。それは味方でした」(盛岡商・齋藤重信監督)
朝から降り続いた強い雨は、盛岡商に勢いを与え、逆に八千代を苦しめた。
パスサッカーを信条とする八千代は、FWからDFまでの距離を短くして、ダイレクトなど速いパス回しで相手を翻弄するスタイルを武器としてきた。ゴールに向かって突き進みながら、⑩米倉恒貴や⑪山崎亮平が個人技を見せる。しかし、この日は、特にセンターライン付近にできた無数の水溜りが、自慢のパスサッカーを消し去っていく。⑩米倉のパスは勢いをなくし、盛岡商に拾われ、速攻につながれてピンチを招く。⑪山崎のトラップも滑って小さなミスとなり、いつもなら入るシュートが枠を越えていく。
盛岡商は雨を歓迎した。
「選手権直前合宿で大雨の日があった。富山一と試合をしたんですが、結構プレーができた。問題はないなと思っていました」(⑤中村翔)
さらに、岩手県のチームだという利点もあった。
「いつも雪の上を走ったり、雪を使ったトレーニングもしてるから」と⑨成田大樹が話すように、11月過ぎにはコンディションのいいグラウンドでの練習はできない。少しでも暖かくなればその雪が溶け、グラウンドもぐちゃぐちゃになる。それでも盛岡商の選手にとってはそれが当たり前。この日も、ピッチの状態が悪くても、自分たちのサッカーを貫けた。
「八千代のDFラインが高く、ウラへの意識はあった」(⑪林勇介)
中盤をコンパクトに保つ八千代DFのウラのスペースへ、速いスルーパスを送る。オフサイドになるかならないかという絶妙のタイミングで⑪林や⑨成田、⑬大山徹が一気に飛び出していく。
「失うものは何もない」(⑨成田)
盛岡商が思い切りのよさを前面に押し出して攻める。一方の八千代も、体を張ったディフェンスでゴールを割らせない──。やがて、運命の後半ロスタイム。恐らくこれが最後のプレーになるだろうと思われた八千代CKのシーンを迎える。
「それまでは巻くボールを蹴っていたが、この雨でGKがファンブルすることもあるかなと思って強いボールを蹴りました」という⑪林のボールは、加速しながら八千代GK①植田峻佑の腹付近に飛んでいく。
「キャッチしようと思ったが、集中しきれていなかった。最後はヒザに当たりました」(①植田)
①植田が取りきれなかったボールは、ゴールの中にこぼれた。そして試合終了の笛が鳴る。
「うれしいです。ここまで来たら優勝しかない」と⑪林。全くのノーマークだった盛岡商が、その時々の状況をしっかり把握した戦いぶりを披露しながら決勝に進出。初の国立で、したたかに冷静にラッキーゴールを呼び込み、残り1つの決戦に臨む。
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