3回戦
1月3日(水)/12:10キックオフ/埼玉県・さいたま市駒場スタジアム/観客9200人/試合時間80分
盛岡商 1(1-1、0-0、PK4-2)1 武南 |
いわゆる「高校サッカー」のイメージがピタリとハマるチームだ。ひたむきに、がむしゃらに、あきらめずにボールを追いかける。選手の髪型は坊主頭か短髪。ベンチには強面の指導者――。岩手代表の盛岡商が絶対的エース・福士徳文(順大)を擁して以来、2年ぶりのベスト8進出を決めた。
1試合目の駒場会場には、3日間6試合で最多の入場者数9200人が集まった。バックスタンド2階席には「BUNAN」のビッグフラッグ、1階席にはチアリーダー、ジャージ組、制服組と総動員の武南応援団。武南がゴールに迫ればメインスタンドも「ワーッ」と沸く、会場全体が埼玉代表・武南の勝利を後押しするような雰囲気。また、2回戦で滝川ニに3-1で完勝したことで、チームのムードはいい。
14分、その武南が先制する。②三田洋介のクロスをFW⑰松永七海とDF④藤村健友が競り合うも、逆光でかぶったか、ボールはどちらも触れず後方のスペースへ。これを⑩苗代泰地が胸で弾ませるようにトラップすると左足一閃。鮮やかなアーチを描いてGKの頭上を越えたドライブシュートが逆サイドネットに突き刺さった。「ドライブシュートの練習はよくしていたから、決められたんだと思う」とエースの⑩苗代。
だが、「失点の時間帯が早かったので、落ち着いてやれば決められると思っていた」(④藤村)盛岡商は、21分、⑩東舘勇貴のゴールで同点とする。4-2で勝利した2回戦では周りの攻撃陣が次々にゴールを挙げる中で自身はノーゴール。2年生MFの⑪林勇介が「FWに決めて欲しい」というように、エースのゴールはチーム全員の願いだった。
武南のホームのような雰囲気にも、アウエー・盛岡商は堂々としたもの。「言い方は悪いですけど、つぶすつもりで行こうと思っていた」(④藤村)と球際では積極的にボディーコンタクトを挑んでいく。「埼玉のチェ・ホンマン」としてスポーツ紙の紙面を賑わせている相手のポストプレーヤー、185センチの⑰松永には主将の④藤村が徹底マーク。前半だけで④藤村、⑬大山徹、②平龍介の3人がイエローカードをもらうぐらいの激しさだった。
前半の半ばから盛岡商のガツガツとしたプレーが、今日が3試合目となる武南にボディーブローのように効き始める。「サイドで持ったときとか、来るところはすごく速い。ドリブルをしようとすると仕掛けづらいポジションにいた」(⑩苗代)。これにより武南は指揮官が「一番心配していた」という長いボールを蹴り込む大味なサッカーをさせられることに。
それでも後半、武南は2トップの⑩苗代、⑰松永が2人の関係から何度も盛岡商ゴールを脅かした。「ずっと押されていたのでつらかった」(④藤村)。だが、攻める⑩苗代が「決めるべきところを決められなかったのが詰めの甘さ」といえば、守る④藤村が「気持ちで勝負しました」というように、武南のシュートミス、盛岡商の気迫のディフェンスでゴールは生まれず、両校にとって今大会初のPK戦へ。
PK戦では「落ち着きがなかったように思う」(大山監督)という、武南の2人目、3人目のキックが枠外に外れて勝負あり。これで盛岡商は2年前のベスト8に並んだが、チームに達成感はまだない。「今日勝っても次の試合で負けたら意味はない。まずは国立ですが、最終的には頂点を狙っています」(④藤村)。昨年、岩手のライバル・遠野が国立行きを達成。④藤村は「遠野が行けるなら俺たちも」と決意を新たにしたのだという。
ベスト4を懸けて戦うのは、3試合すべてPK勝ちの広島皆実。どちらも高校サッカーらしい、がんばれるチームという共通点がある。1日の休養日を挟んでの駒沢での準々決勝は、両校の気迫と気迫がぶつかりあう「死闘」になりそうだ。
盛岡商・④藤村健友
「この1勝は大きかったと思います。武南は中盤でいいパスを回してくる。松永をマンマークしたが? 体があるのでボールを入れさせないように、入ってもセカンドボールを拾おうとした。失点の時間帯が早かったので、落ち着いてやれば決められると思っていた。後半はずっと押されていたのでつらかったけど、気持ちで勝負しました。本当に『うれしい』しかないです。ここまで来たんだから国立に行きたい」
武南・大山照人監督
「一番心配していた長いボールを多用してしまった。ハーフタイムで修正が利かないほど重症だった。それでチャンスもできていたので、選手が“近道”を選んでしまったということ。これは本来のウチの戦い方ではない。2トップに頼るボールが多かったので、中盤の両サイドから攻めたかった。今日のようなゲームを勝たないとチャンピオンになるには遠い。いつも点を取ってリードしていたので、競ったことで焦っていた。負けていないのに負けている雰囲気になってしまった」
武南・⑩苗代泰地
「ロングボールが多かった。パスをつなぐことができなかった。盛岡商のディフェンス? サイドで持ったときとか、来るところはすごく速い。ドリブルをしようとすると仕掛けづらいポジションにいた。連戦で疲れていないといえばウソになるけど、そういうのも含めての“選手権”だと思う。だけど、チーム全体としてやれるべきことはやったと思っている。次につながるいい試合になった。(ゴールは)ドライブシュートの練習はよくしていたから、決められたんだと思う。大山先生から期待されていたことが初めてできた」
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