2回戦
1月2日(火)/12:10キックオフ/千葉県・柏の葉公園総合競技場/観客1万500人/試合時間80分
野洲 1(0-0、1-0)0 真岡 |
灰色がかった空を見る。輪がはじけ、再び集まって笑顔が咲く。「やるしかないな」。野洲の山本佳司監督も選手たちも「王者」と見られるこの大会の大事な初戦と向き合い、そしてたどり着いた心境。「勝つよ」(⑧村田和哉)。表情は晴れやかだ。
「(乾)貴士やボリ(荒堀)からパスをもらえるんですよ。楽しいっす」
選手権本大会まで1カ月をきった頃、⑧村田はうれしそうに話していた。野洲は⑩乾貴士、④荒堀謙次、③田中雄大をはじめ、バリエーション豊かで正確なパスを出せる選手がたくさんいる。その中で⑧村田は右サイドをただ前へ進む。それが自分のやるべきことだと知っているから。
「中へ切れ込むより、ゴールのより近くに行く。だから前に進むことを考えます」(⑧村田)
④荒堀と⑮奥田健斗がピンチの芽を摘み、乾につなげ、自分にパスが来る。前へ進めば、⑨山田晃平や⑭中武真哉が点を取ってくれる。絶対的な信頼が、このチームにリズムを生み、チャンスを作る。そうして今年の野洲スタイルは作られてきた。
迎えた選手権初戦。フィジカルの強い真岡がどのような野洲対策を練ってくるのか、うかがいながらの立ち上がり。真岡の菊地隆之監督が「野洲の攻撃を防ぐのがテーマだった。マークのずれを減らしながら、(攻撃は)サイドを狙っていた」と話すように、速いプレッシャーでボールを奪うと、⑪諸隅巧基と⑫高橋俊を起点に早めのクロスでゴールに迫った。野洲の攻撃の起点である両サイドを抑え、自分たちのペースに持ち込みたかったのだろう。
しかし、野洲の選手たちが感じていていたのは、「優位に進められるのでは」という思いだった。
「(真岡は)思った以上に引いていたし、両サイドから来ていた。廣瀬(直弥)とポジションをチェンジしてチャンスを作っていこうとした」(⑧村田)
「サイドから来ていたけど、そんなに怖くなく、いけるかなと思っていた」(③田中)
前半20分過ぎからは真岡のマークにずれが生じ、野洲の選手が前を向けるチャンスが多くなっていく。パスをつなぎ、ドリブルで仕掛ける。最初のチャンスは前半29分。⑭中武からの速く強いスルーパスが⑧村田にピッタリ届く。真岡DFを置き去りにすると、⑧村田は「余裕があって、GKも見えた」とシュートを打つ。GKの足の間をすり抜けたが、ゴール左側へ外れてしまう。「あれが決まっていれば」(⑧村田)と頭を抱えたが、野洲の特徴でもある1本のミドルパスから一気にゴールまで行くスピーディーな攻撃の形が見えた。
真岡も懸命にボールを追うが、セカンドボールやこぼれ球を野洲のボランチ④荒堀と⑮奥田がことごとく拾い、サイドに振り分けてくるだけに、引かざるをえなくなっていく。
そして後半10分。ゴール前25メートル付近で⑩乾が倒されFKのチャンス。「狙っていたけど、まぐれです」(⑩乾)苦手だという直接FKを⑩乾が決めて1-0。試合終了直前には真岡の反撃に遭うも、野洲優位は変わらず、3回戦進出を決めた。
暑い7月下旬。それまで「乾頼みだった」(山本監督)攻撃が、急速に進化を遂げようとしていた。右サイドをトップスピードで駆け上がり、ゴールに向かう。相手DFをぎりぎりまで引きつけてラストパスを送る。そんな背番号8の姿が印象に残った。そしてもう一つ。ラインを割ったボールを、見ていた少女が拾って渡す。「ありがとな」笑顔とともにやさしい関西弁でそういうと、また厳しい表情に戻ってピッチに向かう。⑧村田の素晴らしさはスピードだけでなく、周囲に配慮できる余裕があることなのだろうと感じずにはいられなかった。八千代との3回戦では、今日以上に苦しい試合が予想される。けれど⑧村田はきっと周りの状況を見ながら、恐れずに前を向き、突き進んでいくだろう。そこから、野洲の攻撃は加速していくのだから──。
野洲・山本佳司監督
「真岡がプレスをかけてきて、セカンドボールを拾われたら怖いなと思っていたが、前半で、中盤の攻防が負けていなかった。ハーフタイムには④荒堀と⑮奥田に前にボール蹴るだけじゃなくDFラインの前にワンクッション置いて攻めろと伝えました。体力的にも消耗する中での粘りは学ばなければいけない。次はアウエーで厳しい戦いになる。そこを切り抜ければ野洲っ子も成長してくれる」
野洲・⑩乾貴士
「マンマークでくるのはわかっていたのでサイドに流れようと思った。FKはファーを狙って蹴りました。狙っていたけどまぐれ。ここにきてやっと決められたのでよかったです。注目される分、ファウルされたりして我慢できない部分があった。昨年は、使われるほうだったが、今年はうまく周りを使っていけたらいいなと思います」
野洲・③田中雄大
「(試合の入りは)先にボールにアプローチしに行くことを意識しました。(真岡は)サイドからきていたけど、セットプレーも怖くなかったのでいけるかなと思った。こっちのペースだったし、後半仕掛けようとしていたので、0-0の前半は問題なしです」
真岡・菊地隆之監督
「野洲の攻撃を防ぐことが今日の試合のテーマだった。選手たちは粘り強くやってくれたが、力不足。でも力は出し切れたと思う。(野洲の)乾君対しては⑦吉田拓海に対応をさせ、フリーにしないようにと伝えていました。ある程度は抑えられたと思っています。余計なファウルを与えて、FKでやられてしまった」
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