1回戦
12月31日(日)/12:10キックオフ/東京都・駒沢陸上競技場/観客6536人/試合時間80分
作陽 2(2-0、0-1)1 久留米
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インターハイ、高円宮杯全日本ユース選手権に続き3度目の全国大会となる岡山県代表の作陽高校。対するは、予選5試合中3試合を逆転勝利で勝ち上がってきた東京都A代表の久留米高校。お互いパスサッカーが持ち味であり、どちらが中盤で多くパスをつなぎペースをつかめるかがポイントとなった。
立ち上がりに、先にペースをつかんだのは久留米。スタンドを埋め尽くした地元の大応援団の声援を力に、キャプテンの⑭桜井直哉が起点となり、リズムのあるショートパス、大きなサイドチェンジで、作陽陣内に入り込む。スカイブルーのユニフォームを身にまとった久留米の選手たちが、緑のピッチで躍動感ある動きを見せ、1対1の場面でもどんどんと勝負していく。ここ駒沢陸上競技場は、都予選でインターハイベスト4の帝京を逆転で下すなど、戦い慣れたピッチ。久留米の選手たちは、初めての全国の舞台にもかかわらず、臆することなく持っている技術を発揮していく。
対する作陽は、大会直前にディフェンスリーダーでキャプテンでもある③石崎晋也ら主力3人をケガで欠く苦しい布陣。序盤は自陣に侵入してくる久留米のドリブルに、体を張って守る場面が続いた。この苦しい状況を変えたのが、ゲームキャプテンを任せられた⑩酒井貴政だ。中盤の底にポジションする⑩酒井は、味方のリズムが悪いときは、ディフェンスラインまで下がってボールをもらい、わずかなスキがあれば前線にパスを供給していくことでリズムを作った。
そして均衡が破れたのは前半18分。⑩酒井を経由することでボール回しにリズムが生まれ始めた作陽は、コーナーキックのチャンスを生かし、競り合いからのこぼれ球に⑬桑元剛が反応。右足を振り抜き先制点を奪う。
試合は作陽ペースで進む。⑩酒井からの供給されたボールを左サイドの⑳濱中優俊、右サイドの⑪小室俊之が勝負を挑み、久留米ディフェンスを再三苦しめる。
追加点が生まれたのは32分。⑪小室がペナルティエリア内でディフェンスを背負ったまま股抜きし素早く反転。ラストパスを中央に走り込んできた⑰桜内渚が合わせて作陽が2-0とリードを広げる。ゴールを決めた⑰桜内は、作陽の攻撃の軸である⑨村井匠の故障により、1カ月前に急遽DFからFWにコンバートされた選手だ。試合後、「シュートを決めたことで落ち着けた」と本人が語ったように、後半44分に交代するまで、武器である高さを生かし、久留米ディフェンスを苦しめ続けた。
後半開始早々、試合が動く。久留米⑳野村啓介が右サイドを持ち前のスピードで突破しセンタリング。中央で⑩新宅龍が合わせて1点差とする。都予選を逆転の連続で勝ち上がってきた久留米。この得点で応援席のムードが一気に高まり、ワンプレーごとに大歓声が沸く。
しかし、作陽はこのアウェーの雰囲気になった中でも慌てることはなかった。⑩酒井がキャプテン③石崎のいないディフェンスラインに何度も声をかけ、ポジショニングを確認し、高いディフェンスラインを保ち、組織的な守備で久留米のチャンスを潰していく。
この作陽の落ち着きが久留米から時間を奪っていく。作陽が久留米陣内でパスをつなぐ時間が長くなり、久留米はカウンターを狙うが、どうしても最終ラインを突破できない。
久留米高校は、来年度から都立清瀬東との統廃合が決まっており、久留米高校として戦うのは、この選手権が最後。負けた時点で久留米高校サッカー部の歴史に幕がおろされる。スカイブルーの選手たちは、卒業生のためにも絶対に負けられないと言わんばかりに、後半残り10分の体力的にもっとも厳しい時間帯でも必死に走り回る。
けれど作陽は決して慌てない。フリーの選手を見つけては、セーフティにボールを回し、スペースが空いていれば前線に効果的なパスを送る。タイムアップの笛がなるまで久留米にペースを握らせなかった。
後半、早い時間帯に久留米が1点返したことで、全国の舞台でも“逆転の久留米”が見られるのではと思ったが、久留米スタンドの大歓声にも動じず、自分たちのペースを守って試合を進めた作陽の試合巧者ぶりが光った一戦だった。
作陽・野村雅之監督
「ケガ人がいたので、かわりに入った選手がよくやってくれた。点を取った桜内は1カ月前にDFからFWにコンバートしたが、起点になってくれた。ケガによって出られない選手が出たことはマイナスだったが、選手層が厚くなったという意味ではプラスにもなった」
久留米・齋藤登監督
「個々の力の差のわりにチームとしてはよくやってくれた。後半1点を返したし、負けはしたが今までやってきたサッカーが出せた。選手たちには感謝の言葉を伝えたい。統廃合が決まっていたのに入学してきてくれたとき、私は彼らにまず“ありがとう”と言いました。だから今日も最後に “ありがとう”と言いたい」
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