菊地 すごい試合だったねぇ。
北 ですねぇ。この試合って、フットサルの盛り上がる要素が全部入っていたと思うんですよ。退場者、5ファウル、第2PK、パワープレー。それに加えて今回は延長戦まで! フットサルの美味しいところが凝縮された試合になったと思います。僕が座っていた後ろで見ていた子どもたちなんかも、最初はつまらなさそうにしてたんだけど、途中からは大騒ぎしてましたよ。
菊地 VIP席に座っている人たちって、こういっちゃ何だけど寝てたりすることも多い。多忙な人たちばかりだからしょうがないのかもしれないけど。でも、今日は身を乗り出して見てる人たちもいたりして。
北 それぐらい面白かったということですよ。
菊地 全日本選手権っていうのは、どこかで必ずものすごい試合があって、語り継がれていくもの。今年は名古屋とシャークスが結構面白かったから、それかなと思っていたけど、決勝はもう予想以上。日本のトップの2チームによるカードと、お客さんの期待感がマッチしてすごく盛り上がった。
北 今大会の1次ラウンドのテーマは、地域リーグのチームの「打倒F」だった。そして決勝ラウンドからは「打倒名古屋」が軸になった。シャークス、湘南、浦安と名古屋が追い詰められると、お客さんがすごく盛り上がった。森岡薫が「アウエーだった」という話をしていたんだけど、確かにそうでしたね。
菊地 ポテンシャルとか実力的には、名古屋の1強状態なのは明らかじゃない? だから、弱い相手から点を取れば、ちょっと気の毒のような感じに受け止められ、接戦になったら相手がよく頑張ったという風に取られて、完全なヒールになっている。やりにくさはあっただろうね。
それから、この全日本選手権は、多くの日本人フットサルプレーヤーにとって特別な大会という点。Fリーグができる前は日本一を決める大会で、この大会に勝つのがステータスだった。だけど、名古屋は外国人選手も多いし、彼らにとってはそれほどモチベーションが上がるものではなかったのかもしれない。サッカーにおける天皇杯的な位置づけになっていたのかもね。
北 名古屋はリーグ戦に強いチームだと思うんですよ。リーグ戦だと21試合の中でチームの総合力がしっかり出る。でもカップ戦はそのときのチーム状態や勢いに左右される。浦安のシト・リベラ監督はその点、勝負師的なところが強くて、采配がズバズバ当たっていたのも勝った要因だと思いました。
菊地 実は、優勝会見の後に浦安の選手に聞いたら、決勝のメンバーで全日本選手権で優勝を経験していないのが、稲田祐介と渡辺博之しかいなかったんだって。
北 へぇ~。いわれてみれば確かに!
菊地 浦安は、全日本選手権のためにまとまったというんだけど、そういう風にならなきゃ勝てないぞというのを知っていたし、経験があったのが大きかったね。
北 Fリーグで名古屋の優勝が決まりかけたとき、シト監督は「プロとアマチュアの差です」といっていた。だけど今回は、いってみればアマチュアがプロに勝ったわけじゃないですか? それについて聞いたらシト監督は「我々は非常に質の高いアマチュアです」といっていて、それが面白くて。アマチュアでも、大会へのコンディショニングやメンタル面でもうまく持ってくれば、プロに勝てるというのを証明できたのは、他のチームには勇気を与えたのかなと思います。
菊地 シト監督もいっていたけど、それは「カップ戦において」という前提だよね。リーグ戦はまた別。来シーズンのリーグ戦がどうなるかといったら、やっぱり名古屋が優勝候補筆頭でしょう。リーグ戦とカップ戦の雰囲気や戦い方の違いが出てきたことが、フットサル界が前進した表れだとも思う。
北 メディアとしてFリーグを取り上げる僕らとしては、名古屋が優勝して完全なる1強というよりも、カップ戦王者の浦安という対抗馬ができたり、がんばればチャンスはあるというのができたほうが新シーズンを盛り上げやすい。
菊地 浦安にとっては今回の優勝はすごく大きなこと。だけど、名古屋も今回は「負けてやったんだよ」ぐらいの気構えでもいいと思うんだよね。実際に名古屋の関係者から話を聞くと、「そんな余裕はない」ということだけど(笑)。
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