明治安田生命2015Jリーグチャンピオンシップ
準決勝 ガンバ大阪―浦和レッズ

2015年11月30日

粂田孝明(本誌)取材・文 松岡 健三郎(本誌)写真

15年11月28日(土)/14:03キックオフ
埼玉県・埼玉スタジアム2002/観客40,696人/試合時間120分
ガンバ大阪
3 0-0
1-1
0-0
2-0
1
浦和レッズ
今野泰幸
(後半2分)
藤春廣輝
(延長後半13分)
パトリック
(延長後半15分+1分)
得点者 ズラタン
(後半27分)
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ゾーンに入りこんだ東口

初めて開催されたJリーグのプレーオフ「明治安田生命2015Jリーグチャンピオンシップ」の準決勝。第1ステージ覇者の浦和レッズと、年間勝ち点3位のガンバ大阪が、浦和のホームスタジアムで対戦した。この試合は1発勝負ということもあり、様子見の時間帯はなく、序盤から互いに点を奪いにいった。ボールを支配したのは浦和で、それを受けるような形からカウンターを狙うG大阪。試合は後半から動き出した。2分、G大阪が高い位置でのパスカットから今野が先制点を奪うと、浦和は攻撃的な交代を行い、27分、ズラタンがCKから決め、同点に。試合はそのまま延長戦に突入した。そこでも激しい攻防がくり広げられ、PK戦の雰囲気が漂っていた延長後半13分。右クロスを藤春がボレーシュートで決め1点をリード。その後パトリックも加点し、結局3-1でG大阪が激闘を制した。

ピックアッププレー

試合を決めたセットプレー

日本代表の常連となり、近年著しい成長を遂げている東口。この試合でも彼のスーパーセーブが何度も飛び出した。

「いわゆるゾーンに入っていたという感じでした」
本人のこの言葉通り、前半23分の宇賀神友弥、後半50分の梅崎司、後半7分の武藤雄樹、後半41分の柏木陽介と、強烈なシュートが枠内に飛んできたが、ことごとくそれをセーブした。しかもボールをこぼすことがほとんどなかったため、浦和にこぼれ球を拾われることもなかった。

そんな中で試合を左右したのが、2つのシーンだった。

1つは後半終了間際のラストプレー。左からのクロスをファーサイドで武藤がヘディングシュート。距離はゴールからわずか3メートルの位置だった。東口は最初、「クロスに対してチャレンジ」して、ボールを外にはじきだそうと思っていた。しかし高さもスピードもあって反応できなかった。そこでシュートがくるまで我慢し、どちらかにヤマを張らないように心掛けた。結果、武藤のシュートは自分の正面にきた。ギリギリのところでブロックできたが、ボールはクロスバーに。こぼれたボールに対して、素早く反応して、大ピンチをしのぎきった。「正直難しいシュートでバーに当たって助かったなと思いました」と振り返った。

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後半45+3分。浦和・武藤のヘディングシュートを、東口が至近距離でセーブ

もう一つが延長後半13分、藤春廣輝のシュートが決まる直前のシーン。伝説として語り継がれるであろうプレーが飛びだす。
自陣左サイドから丹羽大輝が東口に向けバックパスを蹴った。これがあろうことが浮き球。

「普通ゴロですよね。まさか超えてくるとは思わないですよね」と東口。
ボールはそのままゴール方向へ。スタジアムにいる誰もがオウンゴールかと思った。しかし東口だけはボールの軌道が分かっていた。
「枠には入っていなかったんで、ポストに当たってもそこから枠には入りはしないと思っていました。リスクを冒してまで手で取ろうとはとは思いませんでした。ボールの回転も含めてすべて見えていて、次のプレーをイメージして、ポストに当たったらどう反応しようかと思っていました」

東口は手で取るのをやめ、足でクリアできるのではないかとオーバーヘッドでのクリアを試みるが、これは空振り。しかし慌ててはいなかった。すぐに起きあがってポストに当たったボールに走り、右サイドバックのオ ジェソクに展開した。
そこから右サイドを一気にパスで崩して藤春のゴールにつながった。時間にして30秒程度。このわずかな時間の攻防が、この試合のクライマックスだった。

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延長後半13分。丹羽のバックパスがポストにあたり、そこから展開してゴールが決まる。
東口の冷静な判断が光った

もし東口がバックパスを慌てて手でセーブしていたら、ペナルティーエリア内での間接FKになったばかりか、レッドカードで退場という事態にもなりかねなかった。しかも浦和がそこで点を入れなくても、PK戦で東口が出場できず、交代枠も使っていたため、フィールドプレーヤーがGKをやる可能性すらあった。

試合後、「失点するか、流れを変えられるか、それがGKの醍醐味なんですが、今日は特にやっていて楽しかったです」と笑顔で語った東口は、この試合のMVPに選出された。浦和GKの西川周作はそんな東口のプレーを見て「彼はそれに値する選手だった」と素直に称賛した。

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