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Match Report マッチレポート
PUMA CUP 2007 第12回全日本フットサル選手権大会 マッチレポート
グループ分け スケジュール
2007/2/1

PUMA CUP 2007 第12回全日本フットサル選手権大会

菊地芳樹(本誌)、北健一郎(本誌) 構成

準決勝 対談プレビュー

聖地・駒沢体育館で熱狂度アップ

菊地 全日本選手権も、この対談レポートもいよいよ準決勝まで来ましたか(笑)。

  準決勝からは東京・駒沢体育館に舞台を移して、入場料も有料(1000円)になります。去年の会場は代々木第一体育館で、1万人近くのキャパシティーに2000~3000人ぐらい。有料制は一昨年(第10回)の決勝が初めてでしたが、そのときの駒沢体育館で満員に近い入り。現状のフットサルの集客力は、昨年5月の日本対ブラジル()は別格としても、ビッグイベントは代々木でやるには大きいけど、駒沢でやるには小さいという。

菊地 駒沢体育館はアリーナ席(可動式)を含めると収容人数は約2500人になる。これまで日本代表戦、全日本選手権などで熱狂的な雰囲気になっていたから、Fリーグの「収容人数2000人以上の体育館」というラインは、そこから弾き出されたのかもしれないね。

  確かに。あの駒沢体育館の“ギッシリ感”は名勝負を生みそうな感じがしますし。

菊地 何にせよ盛り上がそうだね。

  あとは試合が5日間開くということ。その間で調子のよかったチームは落とさないか、ピリッとしなかったチームは上げられるか、そのへんもポイントになりそう。

菊地 それでは準決勝のプレビューに行きますか。それぞれのチームにどんなメンバーいて、どんな戦い方をしているか、ということを簡単に洗い出していきましょう。

※2006年5月5日、日本代表のアジア選手権壮行試合ブラジル戦で、代々木第一体育館に日本フットサル史上最高の公式入場者数8749人を動員した。

準決勝
第1試合 大洋薬品/BANFF-FIRE FOX

プロチーム相手にファイルはどう戦う!?

菊地 大洋薬品についてはブラジル人選手を含めて外国籍選手が4人いる。今大会に関しては「外国籍選手は1チーム名あたり4名まで登録を認めます」、そして、「ピッチ上にいる選手が2名を越えてはならない」ということになっている。大洋薬品の4人というのが⑤ボラ、⑪マルキーニョス、日系ブラジル人の⑭山田ラファエル、日系ペルー人の⑨森岡薫。そして、帰化して日本国籍になっているのが⑥宮澤孝と⑫山田マルコス勇慈。
  で、何が言いたいかというと大洋薬品のメンバーの使い方。ピッチ上には基本的に外国籍選手が2人、日本人が2人いると。その2人の日本人がすごく出場時間が長くて、バランスを取ったり、守備を一生懸命がんばるという。これは、眞境名オスカー監督のチームではお馴染みのやり方。すごく手堅くて、日本人選手が渋い活躍をしている。決勝ラウンド1回戦まではキャプテンの③北原亘、⑦上澤貴憲がスタメン。交代で⑩豊島明、④難波田治が出てくると。

  圧倒的に出場時間が長いのは③北原と⑦上澤。

菊地 ③北原については大洋薬品に入ってからプレーがガラリと変わった。今までの全部突破に行くぞという感じの、やんちゃなプレーヤーから、すごく手堅い大人のプレーヤーになった。昔のスケールの大きいプレーを知っている人たちにとっては、寂しい感じがしないでもないけど。
  もう1人の⑦上澤は埼玉県の強豪チーム、高西クラッシャーズ(高西)から入ったんだけど、これがかなりいい。どこが「いい」と思うかといえば、個人的にはボール奪取力がすごいなって。ファウルなしでボールを奪う、相手が倒れるのに自分は倒れないとか、強さと上手さを兼ね備えたボール奪取力はぜひ見てもらいたい。

  高西のときには基本的にはフル出場(笑)。彼はフル出場してもプレーのクオリティーが落ちないスタミナの持ち主。ユーティリティープレーヤーで、最後尾でボールを奪う役から、組み立て役、フィニッシュまで1人で担ってたんですけど。ただ、③北原はプレースタイルがガラリと変わったといえるけど、⑦上澤はそんなに無理なくチームに馴染んでいるように感じる。性格的にもエゴが強くないから、このチームの中和役になっているのでは。本当にバランサーに徹している。

菊地 ③北原と⑦上澤が後ろにいて、前の方では⑨森岡と⑭山田、⑪マルキーニョスと⑤ボラとのセット。彼らが攻撃的な役割を担っていて、たまに⑮野島倫というのが多かったかな。
  でも、あんまりスキルフルではないよね。フェイントで翻弄するというのではなく、すぐかわしてドン! かわしてドン! かわしてドン!

  (笑)。相手に当たってもお構いなしですもんね。

菊地 うん。別に敵がブロックしてても、その上から打っちゃう。大洋薬品としてはそれを100%で40分繰り返すことができると。それに対して相手は100%で頑張ると。だけど後半になると90%、80%ぐらいしか守れなくなってくる。その20%の差でドン! と決まってしまう(笑)。

  ファイルとしては、そうさせてはいけない。

菊地 ファイルはGK⑫遠藤晃夫、後ろが②小宮山友祐、⑩板谷竹生、前が⑦稲葉洸太郎、⑮伊藤雅範が基本スタメン。でも、1stセットを一気に2ndセットに変えることはない。

  交代する相手がハッキリと決まっている。②小宮山と⑤北智之、⑩板谷と⑪柴山豊、⑦稲葉と③吉成圭、⑮伊藤と⑱佐藤嘉孝。

菊地 前の人ばかり、後ろの人ばかりとならないようにというのと、1stセットの選手が全くいなくならないように回している。この辺の交代術はさすが。ファイルについては?

  ファイルが大洋薬品に付け入るスキがあるとすれば、大洋薬品の攻守の切り替えの遅さ。ディア・ボーイズ戦では相手を舐めていたところもあるんですけど、簡単にスルスルとシュートまで持っていかれてしまう。①定永久男、③北原が体を張るんですけど、前の選手――特にブラジル人選手が攻守の切り替えで出遅れる場面が目立っていた。一方で、ファイルの一番の持ち味は、攻守の切り替えの早さだと思う。プレデター戦の1点目も③吉成がカットしたボールを、すぐに②小宮山がフォローして決めたもの。カウンターで決められる力は、ファイルにはディア・ボーイズと違ってあるんで。

菊地 このレベルになると、どのチームにもいえるけど、相手に一度構えて守られると崩すのは難しい。ファイルが大洋薬品を崩して点を取るというイメージは確かにない。ここまで大洋薬品は淡々とボールをキープし続けてきたけど、ファイルとしてはいかにプレッシャーを掛けて、いい形で奪ってカウンターできるかがキーポイントになりそう。

  ゲームが始まればわかると思うんですけど、大洋薬品のブラジル人選手は割とイージーなミスパスをする。それをカットすれば数的有利になるので、⑦稲葉、③吉成のスピードがあればゴールできるのでは。

菊地 とにかく長い時間のパス回しをさせないことだね。あれだと見てる方も疲れちゃうから(笑)。

  ペース配分についてはどう思いますか?

菊地 大洋薬品はビハインドになったらラッシュを掛けてくるはず。しかも、ラッシュを長く続けられる。ファイルの青写真としては前半0-0で行って、後半のあるところでポンと先制して、相手が焦ってきたところで2点目を決める。先制点はもちろん欲しいところだけど、早い時間帯で決めても苦しくなる。

  ファイルのほうは主力で戦えるのが5人ぐらいまで。大洋薬品相手だと②小宮山、⑩板谷でないと守りきれないと思う。どちらか片方は絶対にピッチに残して交代させる感じになるでしょう。

菊地 ただ跳ね返すだけじゃなくて、相手にプレッシャーを掛けて、奪いに行く守備ができるかどうかだね。

  もう1つの見所は「ファイル対元ファイル対決」。大洋薬品には、①定永、④難波田、⑨森岡、オスカー監督と、ファイルOBがいる。ボールカットしたらお互いにほえまくりそう(笑)。

菊地 ただ、相手に向かって叫ぶのは、今大会はイエローが出る傾向があるから、気をつけないと(笑)。

準決勝
第2試合 府中アスレティックFC-MAG’S FUTSAL CLUB

粘りのマグ、好調府中、接戦の予感

菊地 府中はかなり状態がいい感じだけど。日本代表クラスの選手、⑲前田喜史、⑥鈴木隆二、⑫小山剛史がチームをうまく引っ張っている感じがするし、実力者の⑤完山徹一、脇を固める⑰滝田学、⑭河原優も効いている。
  一人ひとりの能力が上がったのかな。これまではパス回しもハラハラドキドキという感じだったけど、アドリアーノが戦術的な約束事を決めたことで、最近はゲーム展開が落ち着いている感じがする。

  例えばパスを5本つなぐというサインプレーがあったとして、4本目でミスが出たら、以前の府中はそれで攻撃が終わってしまった。でも、今の府中はミスしても、すぐに別のプレーに切り替えることができる。戦術でがんじがらめになっている感じはしない。

菊地 確かに昔は「3」というサインプレーをやると決めたら、状況うんぬんではなく、それを完遂させないとダメみたいなところがあったね。でも、まあ……今の状態が普通だから、やっと普通になっていうことなのかもしれない(笑)。

  そう、サインプレーはパーフェクトにできることは稀だから、ダメだったときこそ、素早く2番目の選択肢に切り替えられるかが大事。
  プレーヤーとしては今大会7得点の⑤完山が絶好調。上手くて、強くて、割と速い。彼は注目したら面白いかな。

菊地 今大会では右サイドにいて、右から中に入って打つというプレーが多い。シュートを打てる角度が広がった影響もあるのかもしれない。昔は左に流れてというプレーが多かったんだけど。

  府中には左サイドに⑲前田がいるので、両方からシュートを打つことができる。敵としては相当嫌だと思う。
  でも、このチームはこれを最後に選手はバラバラになってしまう。せっかく、ここまで熟成したのに残念ですけど、日本代表クラスはFリーグのチームに移籍する可能性が高い。それがチームにまとまりが出ている原因にもなっているんですけど。

菊地 それはファイルにも同じことが言える。

  でも、ファイルの場合は④小宮山、④岩田など教員の仕事をしている選手が多い。教員の選手にはファイルの環境は理想的。だから府中ほどの移籍はないと思います。

菊地 フットサルの街・府中を代表するチームだから、何とか第2回の府中水元クラブ以来の優勝をしたいところでしょう。
  さて、マグ。エースの⑩岸本武志は、まだ8割ぐらいでプレーしているように見える。地域CLのときの、まるで矢吹丈のような、ボロボロになりながらも股抜きワンツーからシュート決めるみたいな、ああいうのが出てくれば面白い。

  マグ、強いですか? ボクはあんまり強さを感じないんですけど。

菊地 今までのパフォーマンスからすれば、府中有利かもしれないけど、マグは粘るから。いかに食らいついていくかだと思う。

  確かに。アルーサ戦のマグの戦い方を見ていて思ったのは、選手兼監督の③原田健司はすごく研究熱心だということ。だから、このインターバルで府中がどういうチームなのかインプットしていて、チームに浸透させてくるはず。ここまで府中は順調に来ているだけに、マグに自分たちのプレーをさせてもらえなくてイライラする、みたいなことにはなるかもしれない。

菊地 一人ひとりが目立っているわけではないけど、下地となる技術とフィジカルはあるから、スコアの転がり方次第ではいい試合になるんじゃないかな。それでも、⑩岸本が獅子奮迅の活躍をしないと厳しいだろうね。

  フィクソの⑩岸本は相手ピボの⑫小山剛とのマッチアップになる。彼のようなゲームメーカータイプはパワー系のピボに苦戦しそうなので、そこが少し心配かな。

菊地 マグの最初のセットは⑩岸本、⑤西村竜司、⑮奥田亘、③原田。それ以外は⑪山本信吾、⑭鈴木磨人までかな。

  ⑪山本は得点を取る嗅覚がある。

菊地 あるね。ロングパスに対する処理が、まるでサッカーみたいだもん(笑)。

  アルーサも1発のトラップで外されて、ゴールを決められたし(得点者は⑮奥田)。

菊地 スペースがあると生きるタイプかもしれない。

  あっ、⑲前田と③原田はファイルでチームメートだったんですよね?

菊地 そうだよ。

  そう考えると、今回はほとんどファイルの同窓会ですね(笑)。

菊地 ホントだ。全日本選手権になるとやっぱりファイルなんだな。

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