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Match Report マッチレポート
PUMA CUP 2007 第12回全日本フットサル選手権大会 マッチレポート
グループ分け スケジュール
2007/2/7

PUMA CUP 2007 第12回全日本フットサル選手権大会

小池正人(本誌)、菊地芳樹(本誌)、北健一郎(本誌) 構成

準決勝 座談会レポート

初めて見たぞ! 競技フットサル

菊地 今回は本誌編集部の小池も加わってのレポートです。スフィアリーグはベテランなのに、競技フットサル初めてということで。率直な意見を言っていただければ。では、準決勝、決勝という怒涛の2日間を振り返っていきたいと思います。まず雰囲気とかはについては?

小池 基本的には家族、関係者、コアなファンなど、内々で一杯になっているという印象。もうちょっとデカイところでもいいかなと思ったけど。でも、代々木第一体育館だと大きすぎるんだっけ?

菊地 そう。何かポワ~ンとしちゃう(笑)。

小池 代々木第二体育館とか東京体育館とかは使えないのかな? 準決勝も決勝もチケットが完売しているわけだし。

菊地 有明コロシアムは横20メートル×縦40メートルの広さが取れないらしい。だから東京にはフットサルに適した体育館が少ないのかもしれない。

  ただ、今回の駒沢体育館で1つ感じたのは、メインスタンドの観客席から手前側のタッチラインが見えないこと。あそこは雰囲気もいいし、「フットサルの聖地」なんて呼ばれているぐらいですけど、あれは今後の大きな改善点だと思う。

菊地 昔はそんなことはなかったように思うんだけど……。アリーナ席を出したことによるものなのか、ピッチの位置をズラしたのかもしれない。

  お客さんの雰囲気なんかは?

小池 チームを応援しようというのはまだ数十人。基本的には「フットサルを観たい」という人がほとんど。ゲームが面白くなると、会場全体がグワーッと盛り上がってくる。

  準決勝、決勝については有料開催ですから、チケットを買ってまで観るというのはかなりのファン。だからより面白い試合を観たい、フットサルを観たいというのが強いんだと思う。そういうファンだけで2000人以上が埋まっているという感じだった。

準決勝 第1試合
大洋薬品/BANFF 4-2 FIRE FOX

ファイルがあんなにバテバテになるなんて

菊地 北とのプレビューでファイルは勝つためにこういうことをして来るだろう、と話していたのはほとんどその通りになって。決めた本人が「ラッキーだった」みたいなことを言っていたぐらいだけど、⑦稲葉(洸太郎)がCKから先制したことで、大洋薬品としては初めてバタバタした感じになった。

  大洋薬品は前と後ろの選手に連動性がない。攻撃と守備の役割分担がハッキリしているから、相手に前からプレスをかけられたときに、後ろの選手が孤立してしまう。

菊地 「あ・うんの呼吸がまだできてないから、どうしても2タッチ、3タッチのプレーになってしまう」と選手たちから聞いた。本当ならダイレクトでポンポンとかわしたいところだけど、まだそんなに熟成されてない。
  そんな展開の中、眞境名オスカー監督によれば「ブラジル人が落ち着かせてくれた」。こういうときはボールを回して、自分たちのリズムに持っていくのがセオリーなんだけど、それをキッチリとやって自分たちのペースに戻して同点ゴールに結び付けた。同点の場面は、右でボールを持った⑨森岡(薫)を、ファイルの④小宮山(友祐)が当たりに行って、③吉成(圭)が挟みに行ったと。ウチのレッスンページでも散々やっているけど、この場合2人のプレーがぼやけることがある。そのスキに⑨森岡がかき出すように中にパスして、フリーの⑪マルキーニョスが決めたという。

  ファイルとしては、試合前にボールサイドには絶対に厳しくいこうと言っていたらしいんです。だけど、あの場面ではボールが来たコースに先に入っていた③吉成が、⑨森岡に体を入れられたことで、④小宮山が釣り出されてしまった。

菊地 で、1-1で均衡を保っていたんだけど、ファイルは前半の頭10分は頑張ったな、この後はやられちゃうな~という感じだった。

  早い時間でアゴが上がってきて、相手の背中を追いかけるシーンが目立ってきていて。

菊地 ファイルの選手があんなにバテバテになってしまうのを、今まで見たことがなかった。大洋薬品のフィジカルはすごいんだなと思った。

  それからハイレベルなFP10人がプレーできるチームと、そのレベルの選手が6人くらいしか揃えられないチームの差も見えた。

菊地 小池さんがフットサルを「体育館のチェス」といったけど、戦略的に相手のコイツにウチのコイツを当てるという考えがもちろんあって。この試合の場合、ファイルの④小宮山がゴール前にドンといると大洋薬品でもゴールするのは難しいと。そこで後半に大洋薬品が何をしたかというと、抑えるのが大変な⑨森岡と⑪マルキーニョスという点取り屋タイプを2人並べてきた。④小宮山がどちらかに掛かりきりになれば、もう1人のところのマッチアップで上回って、チャンスが作れるかもしれないという。

  ファイルの当たりに強いと呼ばれる選手を、⑨森岡が弾き飛ばしたりして、ものすごい盛り上がるわけではないけど、「さすがプロ」というシーンがありましたね。

菊地 一方のファイルとしては、大洋薬品に構えられるとなかなか崩すことができなかった。それでボールを奪ったときに、カウンターに行けばいいのにというところでも、まずはボールキープに走るという現象が多かった。やっぱり大洋薬品の個々の守備のリーチが広いから、カウンター返しにあうのが怖いんだろうな。

  体力的に前に出て行けないというのもあったんでしょうけどね。

菊地 プロとして1日2回の練習してきて、そんなに差がつくものなのか。少なくともファイルはチームとして10年積み上げてきているわけでしょ。ああいう結果になってしまったら、これまでがいかに甘ちゃんだったかということになってしまうのか。

  いや、アマチュアのトップチームとして、できる限りのことやってますよ。僕はある意味で清々しかったというか。どうしても体力的には差がある中で、準々決勝ディア・ボーイズのようにベタ引きにすることもできたと思う。ファイルの守備力だったら失点を抑えられたかもしれない。だけど、あくまでもファイルは勝ちに行って現時点での実力差を感じられたのは、彼らにとっては貴重なことだと思うし。観客にとってもよかったのかなって。大洋薬品がどれぐらい抜けた位置にいるのか、実感できたんじゃないかな。

菊地 ファイルが思い切ってぶつかったことで、見えてきたものは確かにあるよね。

準決勝 第2試合
府中アスレティックフットボールクラブ 5-4 MAG’S FUTSAL CLUB

プレーイングタイム20分は長い

  小池さんは、第2試合はどう見ましたか?

小池 う~ん、オレのファーストインプレッションは、「プレーイングタイム20分は長い」ということ。

  長い?

小池 サッカーばかり観ている感覚で言うと、20分は短いと思ってたんだけど。プレーイングタイムだと全然違う。

  プレーイングタイムの20分だと、実際には大体倍くらい、40分は掛かりますからね。

小池 だからね。サッカー的に普通に考えれば、前半3-0だったら、後半はどうやっても勝てるだろうと思ってたの。そしたら……もう、死闘なんだもん(笑)。

菊地 韓流ドラマじゃないんだけど、まるでパターンが決まっているかのように毎回死闘になるんですよ。そこがオレと北のフットサルのオススメポイントでもあるんだけど。ヘロヘロになりながら、どっちに転ぶかわからないという(笑)。ストンピングしまくり! みたいな。

  うん、うん(笑)。だけど、今回は一向にヘロヘロにならないチームが1つだけあったと。だから日本の強いチームでも、フィジカルとしては1試合同じことをやり通せるほどではないんだと思う。だから前半飛ばしたら後半バテるし、前半ダメだったら後半は猛攻みたいな、そういう展開になる。

小池 フットサルをやっている選手は、恐らく、11人制に馴染めなかった人が多いんじゃないかと思う。「オレはもっと楽しくプレーしたいんだよ」ということでフットサルに来ているから、そもそもフィジカルなんてしたくないんだと思う。

菊地 そういう人たちが作り上げて、ここまで盛り上げてきたのが関東のフットサル。だから大洋薬品の考え方は、サッカーの考え方なのかもしれない。

小池 でも、そういうのは割と日本人は好きでしょ。だから高校選手権にしても野洲や静岡学園の試合はお客さんが入るんだし。

菊地 国見、鹿児島実業は叩かれちゃうというね。

  確かにサッカーではアウトロー的な選手がフットサルにハマっている。

小池 プレーイングタイムは時間稼ぎができないから、勝っているときの試合の終わらせ方がわからないのかなと感じた。もしもランニングタイムでプレーしていたら、最後に追い上げられて押せ押せで来られたときに、こうしたら時間を使えるというのが経験的にわかるような気もするけど。

  古い話ですけど、2000年の世界選手権予選を兼ねたアジア選手権で「これに勝てば出場権」という試合で日本はリードしていたのに追い付かれて、逆転負けしたという歴史がある。そのときはファウルマネジメントが原因だったんですけど、そういう現象は何だかんだでずっと続いているわけですよね。

菊地 キープすればいいところで平気でシュートを打ってしまったり、つなげるところでバーンとクリアして相手のキックインにしてしまったり。

  ゲームについては小池さんの言うように府中がバンバン3点決めて、前半で勝負あったかと思われたんですが。

菊地 (中村)恭平さんいわく、「フットサルでは3点差はセーフティーではない」と。後半の府中は、マグのプレスにハマってカウンターで攻め込まれた。

  プレスの回避は練習でも相当やってると思うんです。サインプレーと同じくらい。だけど、慌てるとボールを押し付け合って、最後尾の選手が孤立してしまってガーッとやられてしまう。

菊地 1つ思ったのは、最近のプレスのやり方はゾーンディフェンスが主流でしょ? でもプレスを回避する方法は、相手がマンツーマンで来ることを前提にしているのが多いと思うんだ。自分が前に抜けていけば相手がついてきてスペースができるだろうと。そう思ったら、相手はゾーンだからついてこない。だからボールを持っている選手がプレッシャーを受けて、結局前に蹴り出すということになる。そうなったときに、例えば相手と相手の間の微妙な位置で止まってパスをもらい直すとか、そういう工夫がないんだよな。
  でも、上からだとそれがわかるんだけど、実際にピッチに立っていると、相当視界を動かしながらやっているし、思い切り走っているから体も頭もパンパンで、なかなか冷静になれない。だから1つの考え方として、動き方を決めてしまうというのがあるんだけど……。

  1人退場者を出しながらも、同点に追い付いたマグの粘り強さはさすがとしか言いようがない。

菊地 オレが感動したのはマグの1点目だね。CKからの⑩岸本のトーキック。アレは他の試合でもやってたんだけど、ニアの位置から後ろに下がってボールをもらう。そこからだと打たれないと思うから、相手もあんまりついてこない。そこで止めてすぐ打つわけ。体勢的には苦しいんだけど、練習しているんでしょう。枠に行くよね。GKもタイミングが全然合わなくて、すごく芸術的なプレーだったと思う。

  ⑩岸本はパンチ力がそんなにある選手ではないから、タイミングを外して打つシュートを研究しているんだと思う。
  試合は後半もつれにもつれて、最後は延長までいって決着した。フットサルの面白さの1つが最後のドタバタ。タイムアップまでどっちに転ぶかわからないというスリリングさ。前半で席を立った人はそれを知らなかったのか、よっぽどゲームがつまらなかったのか(笑)。

菊地 残り1分でも油断できないよね。1分で大変なことになるときもあるから。ウソッーみたいな(笑)。

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