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Match Report マッチレポート

2010FIFAワールドカップ南アフリカ 足ワザマッチレポート
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ボール

2010FIFAワールドカップ南アフリカ 足ワザマッチレポート
準決勝 ドイツ-スペイン

清水英斗(本誌) 構成

10年7月7日 20:30 ダーバン・スタジアム(ダーバン)

ドイツ

0-0
0-1

スペイン
  得点者 プジョル(後半27分)

準決勝 ドイツ-スペイン
絶妙なパスさばきで、スペインの攻撃を指揮したシャビ
Photo:アフロ

2010FIFAワールドカップ南アフリカ 準決勝 ドイツ-スペイン

ドイツ
監督レーブ
GK
1ノイアー
DF
20ボアテング、3フリードリヒ、17メルテザッカー、16ラーム
MF
7シュバインシュタイガー、6ケディラ、8エジル、10ポドルスキー、15トロホウスキー
FW
11クローゼ
交代
後半6分 20ボアテング→2ヤンゼン
後半16分 15トロホウスキー→18クロース
後半35分 6ケディラ→23マリオ・ゴメス
警告・退場
     
スペイン
監督デル・ボスケ
GK
1カシージャス
DF
11カプデビラ、5プジョル、3ピケ、15セルヒオ・ラモス
MF
8シャビ、16ブスケッツ、14シャビ・アロンソ
FW
18ペドロ、7ビジャ、6イニエスタ
交代
後半35分 7ビジャ→9F・トーレス
後半40分 18ペドロ→21シルバ
後半45分+3 14シャビ・アロンソ→4マルチェナ
警告・退場
     

ゲームのあらすじ
これまでの試合で縦に速い攻撃を仕掛けていたドイツサッカーはすっかり鳴りを潜め、スペインのポゼッションに対してドイツがカウンターを狙うという、旧来の図式に戻った試合。数々の決定機を作ったスペインだが、それをことごとく外し、最終的にはCKからのプジョルのゴールが決勝点となった。

注)時間表記について
当足ワザマッチレポートの時間表記は、そのプレーの起こった分で表示しています(例:0分50秒→0分、13分40秒→13分)。

ゲームハイライト&足ワザメモ 【】内の足ワザはクリックで解説動画を表示します!

前半

5分 ESPスペイン ビジャ 決定機
右サイドのペドロから、ボアテングとフリードリヒの間へ通すスルーパス。ビジャが走り抜けてスライディングシュートするが、GKが防いだ。

18分 ESPスペイン セルヒオ・ラモス 決定機
シャビ・アロンソからの大きなサイドチェンジを受けて、ドリブルシュート。大きくバーの上へ超える。

31分 GERドイツ トロホウスキー 決定機
自陣でシャビを取り囲んだシュバインシュタイガーとケディラがボールを奪い、素早く右サイドへ展開。最後はトロホウスキーがシュートを打つが、GKカシージャスがセーブしてCKへ。

40分 ESPスペイン ピケ ペドロ 足ワザ
寄せてくる敵を【ダブルタッチ】でかわしたピケがカプテビラへパス。逆サイドから、ビジャと交差する動きでカットインしたペドロがボールを受け、ドロー&アウトで仕掛けた。

45分 GERドイツ エジル 決定機
ケディラからクローゼへの縦パスを、プジョルがインターセプトに失敗。エジルがボールを受けて中央をドリブル突破されるが、セルヒオ・ラモスのショルダーチャージで止められる。PKはなし。ブスケッツの対応、セルヒオ・ラモスのカバー意識の低さに問題が見られるシーン。

後半

0分 ESPスペイン セルヒオ・ラモス 足ワザ
ボールを持って、クルッと回りながらルーレットパス

4分 ESPスペイン シャビ・アロンソ 決定機
セルヒオ・ラモスの仕掛けから、シャビを経由して、シャビ・アロンソがミドルシュート・ゴール脇に外れた。

9分 ESPスペイン ビジャ 決定機
カプテビラ、シャビと経由して、イニエスタがカットイン。さらにシャビを経由してパスを受けたビジャが右インサイドシュートを狙うがゴール脇に外れた。

12分 ESPスペイン ペドロ 決定機 イニエスタ 決定機
シャビ、イニエスタを経由してカプテビラがクロス。シャビ・アロンソがボールを落として、ペドロがミドルシュート。そのこぼれ球を、シャビ・アロンソがヒールパスでイニエスタへ。ドリブルで縦に突破して左足でシュートするが、枠を外れた。

16分 ESPスペイン シャビ 足ワザ
左サイドからの縦パスを、足裏で足元に止めると見せかけて【スルートラップ】。前を向いてボールを運んだ。

22分 ESPスペイン イニエスタ 足ワザ
左サイドで、右足の足裏、さらに右インで軸足の裏を通すダブルタッチ。クローゼに倒されてファールをゲット。

23分 GERドイツ クロース 決定機
思い切ってオーバーラップした途中出場のヤンゼンから、エジルがボールを受けて左サイドを突破。ポドルスキーへ折り返し、そのボールをさらにファーサイドへピンポイントクロス。クロースが走り込んでジャストなタイミングで右インサイドで合わせるが、GKがセーブ。後半のドイツ、唯一にして最大のチャンスだった。

27分 ESPスペイン プジョル ゴール
イニエスタの左CKに対し、いちばん後方から走り込んだプジョルがフリーとなり、ジャンプヘッドをたたき込んで、ようやく先制。

31分 ESPスペイン シャビ 足ワザ
カシージャスからのスローイングを、シャビが【軸裏パス】でペドロへ。そこからビジャにスルーパスを送った。

36分 ESPスペイン ペドロ 決定機
ヤンゼンがオーバーラップしたスペースを突くカウンター攻撃。シャビからのパスをハーフラインあたりで受けたペドロが、フリーで独走。シュートは十分打てたが、キックフェイントなどでこねくり回す間に敵に寄せられてチャンスを逃す。終始良いプレーを見せていたペドロだが、このたった1回のプレーで、評価を一気に下げた。

ゲームの感想 ★★★★☆ これが本当に今大会のドイツか!?

矛盾の対決は見られず
“バルサ化”に舵を切ったスペインが勝利

 スペインはドイツとの大一番を迎え、ついに今大会絶不調のF・トーレスをスタメンから外す決断を下した。デル・ボスケ監督がF・トーレスを使い続けた理由の一つには、ビジャを左サイドに置き、比較的フリーの状態からカットインしてゴールを狙う特長を生かすこともあったはずだが、この試合ではビジャをセンターフォワードに変更、ウイングにはペドロが入る布陣となった。これにより、スペインは先発のうち、6人がバルセロナに所属する選手で埋められることに。
 そして、この決断が大成功を収めた。今大会のスペインは、センターフォワードへのサポートが少なく、全体が広がったままクロスを上げて、中央にはセンターフォワードが1人だけ、といった孤立が目立っていた。しかしこの試合では、ペドロやイニエスタが相手の中盤やセンターバックのすき間へカットインする動きを多く用い、そして空いた両ウイングのスペースには、両サイドバックのセルヒオ・ラモスやカプテビラがオーバーラップ。さらに、そこにシャビやシャビ・アロンソも加わる。センターフォワードへのサポートが十分に行われるだけでなく、両サイドから中央に向かってポジションがグルグルと回転するような、フットサルの試合に多く見られる流動性を生んでいく。
 これは、バルセロナのサッカーにとっては基本中の基本ともいえるスタイルではあるが、今大会のスペインには乏しかったものだ。F・トーレスを外したことよりも、ペドロの出場が大きかったのだろう。今回、デル・ボスケ監督が下した「バルサ化」という決断は、今大会以降のスペイン代表にとって大きな選択肢の一つとなるのではないか。
 また、この試合ではシャビの存在感が際立っていた。シャビ・アロンソが単調なロングパスを蹴り続けるようになると、すぐに注意を与え、あるいはペドロの動きに対してボディーランゲージを加えて激高したり、ピケやイニエスタとも頻繁なコミュニケーションを取って修正を繰り返した。まさにピッチ上の監督である。試合終了のホイッスルを聞いた直後、特に喜び方が目立っていたのもシャビであり、この試合の彼からは、冷静さを常に保ちつつも、強い意志による気迫を押し出す姿が感じられた。当然、マンオブザマッチである。
 一方のドイツに話を移すと、この負け方は、非常に悔いが残るものではないだろうか。アルゼンチン戦で見せた、縦にスピードを発揮するサッカー、敵陣にボールごと押し込めるような強烈なプレッシャー、それが今大会のドイツの長所だったはずだ。しかしそのスタイルは、パスワークに長けたスペインとは真っ向からぶつかることになり、もしもプレッシャーがかわされた場合、試合はそこで一気に決着してしまう、といっても過言ではない。ドイツのレーブ監督はそのリスクを恐れたのだろう。
 しかし、ドイツは今大会初めて相手に合わせるサッカーをしたことで、これまでには表に出なかった弱点までも露呈してしまった。フリードリヒの数々のコントロールミスに現れるように、“自陣に対してプレッシャーをかけられると、パスを回せなくなる”ということである。今まではボールを敵陣内に押し込むような展開が多かったため、DF陣にはそれほどプレッシャーがかからず、露呈しなかった弱点である。それでも前半は、クローゼのポストプレーからのエジルの飛び出し、あるいはシュバインシュタイガーの飛び出しに対して、ブスケッツの対応が後手に回っていたため、ドイツもある程度のチャンスを生むことができていた。しかし、後半はブスケッツがエジルのポジションをかなり気にするようになって中央突破が難しくなり、エジルはサイドにポジションを移すことに。これらによってドイツのリズムはガタガタに崩れ、完全に一発カウンター以外の手立てがなくなってしまった。
 策におぼれるとはまさにこのことである。ドイツはスペインの長所を出させないという出発点を選んだことで、自らの長所を消しただけでなく、新たな弱点をも出現させてしまった。何とも皮肉なものである。
 イニエスタも試合後、「ドイツがあんなに守備的に来るとは思わなかった」と、驚きのコメントを残している。少なくともスペインからすれば、ドイツの出足の鋭いプレッシャーを本当にかわし切ることができるのか、恐れる部分はあったはずだ。ドイツの選択は、スペインを楽にしたともいえる。
 もちろん、結果として、ドイツが前線からプレッシャーをかけた場合、スペインに0-4などで大敗する可能性もあるが、少なくとも、この内容よりはドイツの未来につながる試合になったのではないだろうか。見ごたえのある試合だったが、“最強のプレッシャー(矛)と、最強のポゼッション(盾)”、いわば“矛盾の対決”を心待ちにしていただけに、その点は唯一、残念に思う。

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