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Match Report マッチレポート

2010FIFAワールドカップ南アフリカ 足ワザマッチレポート
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ボール

2010FIFAワールドカップ南アフリカ 足ワザマッチレポート
グループE 第1戦 日本-カメルーン

清水英斗(本誌) 構成

10年6月14日 16:00 フリーステート・スタジアム(ブルームフォンテーン)

日本

1-0
0-0

カメルーン
本田圭佑(前半38分) 得点者  

グループE 第1戦 日本-カメルーン
この日、MOM(マンオブザマッチ)に選ばれた本田圭佑。素晴らしい活躍ぶりだった

2010FIFAワールドカップ南アフリカ グループE 第1戦 日本-カメルーン

日本
監督 岡田武史
GK
1川島永嗣
DF
3駒野友一、22中澤佑二、4田中マルクス闘莉王、5長友佑都
MF
2阿部勇樹、7遠藤保仁、17長谷部誠、16大久保嘉人、8松井大輔
FW
18本田圭佑
交代
後半24分 8松井大輔→9岡崎慎司 
後半37分 16大久保嘉人→12矢野貴章
後半43分 17長谷部誠→20稲本潤一
警告・退場
警告 後半45+1分 2阿部勇樹
カメルーン
監督ル・グエン
GK
16ハミドゥ
DF
2アス・エコト、3エンクルー、5バソング、19エムビア
MF
18エノー、11マクーン、21マティップ
FW
13モーティング、15ウェボ、9エトー
交代
後半18分 21マティップ→10エマナ
後半30分 11マクーン→8ジェレミ
後半30分 13モーティング→17イドリソ
警告・退場
警告 後半16分 3エンクルー

ゲームのあらすじ
日本はここまでの強化試合で採用していたシステム、戦術、メンバー構成を捨て、ジョージ合宿で練習した本田の1トップシステムで試合に臨んだ。前半38分に右サイド松井のクロスから大久保がつぶれ役になり、本田が冷静に決めて先制。そして後半は守備に徹し、日本は最後まで1点を守り切って勝利した。

注)時間表記について
当足ワザマッチレポートの時間表記は、そのプレーの起こった分で表示しています(例:0分50秒→0分、13分40秒→13分)。

ゲームハイライト&足ワザメモ 【】内の足ワザはクリックで解説動画を表示します!

前半

7分 CMRカメルーン モーティング 決定機
左サイドのウェボからグラウンダーの折り返し。モーティングが中央で敵を背負いながらトラップするが、そこからは打ち切れず。日本DFがかき出した。

12分 JPN日本 遠藤 足ワザ
本田のポストプレーで前を向いてボールを受けた遠藤が、右サイドの裏のスペースへ、右足のアウトに乗せてフワッと浮き球パス。しかし、駒野の飛び出しスタートが若干遅れて追いつけず。慎重な立ち上がりとなっただけに、やむを得ないかもしれない。

14分 JPN日本 松井 足ワザ
自陣右サイドでボールを受けた場面。寄せてきたエノーを、右足の裏→左足インサイドの【ダブルタッチ】でかわして突破。松井は積極的な仕掛けが目立っていた。ミスしてボールを奪われる場面もあったが、すぐに闘莉王が声をかけて激励していたのが印象深い。

20分 JPN日本 本田 決定機
右サイドへ飛び出した長谷部からクロス。大久保が逆サイドから飛び込んで来てつぶれ役になり、本田がフリーに。しかし、本田はボールのバウンドに合わせられず、GKに体を当てられてシュートを打ち切れなかった。PKを得てもおかしくない決定的なシーン。この意図された攻撃パターンが、後に実を結ぶことに……。

34分 CMRカメルーン マクーン 決定機
エトーのカットインから、裏のスペースに飛び出したマクーンへスルーパス。長友がカバーリングに入り、川島がクリアした。何度かやられるシーンもあったが、長友は「エトー番」として、重要な役割を果たした。

36分 CMRカメルーン アス・エコト 足ワザ
左サイドで寄せてくる松井を、【インアウト】でボールをずらしてかわし、コースを作ってクロスを上げる。キックフェイントの効果もあった。

37分 CMRカメルーン アス・エコト 決定機
阿部から駒野へのパスをインターセプトしたアス・エコトが、単独でドリブルカウンター。危険なシーンではあったが、ドリブルの運びに全くキレがなく、タッチが大きくなったところを中澤にクリアされる。この試合のアス・エコトは、トッテナムでの働きぶりと、ずいぶん差があったようだ。

38分 JPN日本 本田 ゴール
遠藤から右サイドの松井へ展開。そこから松井は左足に持ち替えてクロスを上げる。逆サイドから飛び込んできた大久保がつぶれ役になり、プルアウェイの動きでファーサイド側へふくらんだ本田がフリーに。落ち着いてボールをトラップしてシュートを決めた。ここで注目したいのは、大久保の動きと、さらに松井が左足に持ち替えてクロスを上げたこと。敵DFとGKの間にスペースはなかったので、右足でクロスを上げると、ボールの軌道的に敵GKに触られる可能性があった。松井の隠れた好プレーだ。

42分 JPN日本 松井 足ワザ
自陣で敵を背負ってパスを受けたシーン。右足の【外→内シザーズ】縦に蹴るフリをしてマークを外し、駒野にパスを戻した。

42分 CMRカメルーン エムビア 決定機
右サイドからワンツーで突破してクロス。闘莉王がヘディングして、長友がクリア。徐々にエトーが中央へポジションを移しながらエムビアの攻撃参加を促すようになり、日本の守備陣を脅かすようになってきた。しかし、ハーフタイムに岡田監督は、大久保にエムビアをケアさせて、長友はそのままエトーをマンマークするように指示。きちんと手を打って対応した。

43分 CMRカメルーン アス・エコト 足ワザ
左サイドからクライフターンでカットイン。かわされそうになった松井は、足を引っかけてファールで止める。これも世界で戦うためには必要なプレーだ。

44分 JPN日本 大久保 足ワザ
長友が蹴ったクリアボールを、前方に走りながらツマ先でボールの勢いを吸収する【つま先トラップ】

後半

1分 CMRカメルーン モーティング 足ワザ
左サイド深い位置でボールを受けて、ボールを左右に動かして敵を揺さぶるボールいじり。

4分 CMRカメルーン エトー 足ワザ 決定機
右サイドからドリブルで仕掛けるエトー。ボールをはじくターンで急角度に持ち出して、大久保と長友の間を突破。折り返しをモーティングがシュートするが、ボールはバーの上へ。ペナルティーエリア内でエトーにボールを持たせると、ファールでPKを与える恐れがあるので、思い切ったディフェンスができない。重要なのは、そこにたどり着かせる前に勝負をつけることだ。

14分 JPN日本 遠藤 足ワザ
中盤でボールを受けた遠藤が、【ドロー&オープン】で敵をかわして長友へパス。

20分 CMRカメルーン エマナ 足ワザ
途中出場のエマナが、ボールを足裏で引いて動かしながら突破。日本にとってイヤな選手が入ってきた。なぜエマナがスタメンではなかったのか、疑問に思うが、とりあえず日本にとっては幸運だった。

26分 JPN日本 岡崎 決定機 
防戦に回る日本のカウンターアタック。松井に代わって入った岡崎がドリブルで運んでいく。あまり得意なプレーではないはずだが、エンクルーのファールを誘い、イエローカードを与えた。

36分 JPN日本 岡崎 決定機
本田のボールキープから得たFKからの展開。本田から長谷部へパスして、長谷部がミドルシュート。敵GKがはじいたこぼれ球を拾って岡崎がシュートするが、惜しくも外れる。決められれば2-0で試合運びが楽になっていたが……。これを簡単に決められる能力があるなら、日本はもっと違う戦術を選択することもできただろう。現状ではやむを得ないかもしれない。個人的には今日いちばんの反省点、そして未来に向けた日本の課題ではないかと思う。

43分 CMRカメルーン エムビア 決定機
中盤でフリーになったエムビアがミドルシュート。クロスバーを強烈にたたいて外れ、さらにエノーがシュートを打つが、中澤に当たり、川島がボールを押さえた。入っていてもおかしくない、あるいはオウンゴールもあり得るシーン。しつこいようだが、これ以降の試合では、後半36分のチャンスを絶対に決めてほしい。これだけがんばったのに引き分けに持ち込まれると、あまりにも精神的ダメージが大きくなってしまうからだ。

45分+3 CMRカメルーン ウェボ 決定機
右サイドのジェレミのクロスを、ウェボが右インサイドに当てるだけのシュート。かなり決定的だったが、川島がファインセーブ。すぐにボールをかき出した。

ゲームの感想 ★★★★★ 勝ったからこそ、次がある

この日はじめて
岡田ジャパンはベスト4のスタート地点に立った

 はじめて、といってもいいかもしれない。岡田ジャパンから鬼気迫るほどのプレッシャーを感じた試合だった。今までは後半に失点して逆転されるなど、危なっかしさを感じながら観ていたものが、この試合では選手たちから100パーセントの集中力と、現時点の32カ国で1、2を争うほどの勝利への執念を感じた。そして実際、後半に危険なシーンは何度もあったが、ゴールを割らせなかった。
「不細工なスタイル」「世界標準から離れた」と批判する人間もいるかもしれないが、僕の考えは少し違う。“勝負にこだわる”という、サッカーの最も基本的なピースを欠いたまま、どんなに試合をしてもスタイルは本物にはならない。岡田ジャパンの“テストマッチ”にいちばん欠けていたものがそれだ。スタート地点はここでなければならない。
 戦術的に試合を振り返ってみると、さまざまな場所に、岡田監督や代表スタッフの研究の後が見られる。まずはボールサイドだ。前半は特にボールを日本の右サイドに集めて、カメルーンの左サイドを集中的に攻撃した。松井からのクロス、大久保がつぶれる、本田が決める、このパターンを愚直に狙っていった。そして、逆サイドにポジションを取っていたエトーを、試合から追い出す効果もあった。岡田監督は、「遠藤にもっとボールが入って左からも攻められれば良かった」とコメントしていたが、それはおそらく希望的なもので“そこまでできればいいな”という程度のことだと思う。見事なボールサイドの限定戦術だった。
 そして、長谷部と遠藤の並びにも注目だ。2人がカメルーンのトップ下、エノーとマクーンを担当するような形になったが、長谷部は常にエノーを自分の前に置いてマークしていたのに対し、遠藤は常に自分の背後にマクーンを置いて、闘莉王とはさむような感じにしていた。カメルーンからすればボールを展開しやすいのは必然的にエノーになるので、これも、カメルーンのビルドアップを日本の右サイドへと誘導するためのポジショニングだろう。ボールを奪った瞬間に遠藤がフリーになりやすい利点もある。実に見事だ。岡田監督は、ル・グエン監督以上にカメルーンをうまくコントロールしたかもしれない。
 もともと日本は、32カ国の中でも最低クラスといえるほど、ゾーンディフェンスの戦術に問題が多い。そこで岡田監督はそれを諦め、洗練を尽くしたマンツーマン戦術で相手の良さを徹底的に消した。素晴らしい仕事ぶりに感服している。
 ただ、この戦い方はオランダには通用しない。それは岡田監督自身が百も承知だろう。この日のマンツーマン戦術がハマったのは、カメルーンには瞬間的なポジションチェンジなどの連係プレーを使った攻撃がほとんど見られないからだ。人をマークしてついていくこの日の岡田ジャパンの陣形には、局面局面でスペースがポッカリと空くことがあった。オランダなら、このスペースを味方同士で連動しながらクリエイティブに突くことができる。オランダvsデンマーク戦で、ファン・ペルシーと交差して飛び出したファン・デル・ファールトがシュートを打ったシーンなどがそれだ。流動的に攻めてくるチームには、この日の戦い方はむしろ、最も避けるべき戦術といえる。
 もともと、「ボールも人も動くサッカー」を目指してスタートした現代表が、今ではそれを最も極めたチームを苦手とするスタイルに変化したのは何とも皮肉だが、“自分のスタイルを捨てる勇気”を持つことも、強いチームには絶対に必要なことだ。
 この日はじめて、岡田ジャパンは本当にベスト4のスタート地点に立ったのではないだろうか。オランダ戦での選手たちの活躍が非常に楽しみだ。 

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