
日本はスタメンをコスタリカ戦から8人も入れ替えて、グループリーグ最大の強敵と目されるナイジェリアに挑んだ。序盤から積極的に攻める日本は、4分に⑯藤田征也、⑳ハーフナーマイクが決定的なチャンスを迎えるも、決められない。逆にナイジェリアのFW⑧バラにゴール前で振り向きシュートを打たれるも、これはゴール右に外れる。中盤以降はナイジェリアがやや優勢に進めるが、GK⑱武田洋平が再三のファインセーブでゴールを許さない。そして後半15分、日本に最大のチャンスが。⑳香川真司がゴール前でクロスボールを胸で完璧にコントロールしてボレーシュート! ボールはゴールネットを揺らしたが、このゴールはハンドの判定で取り消されてしまう。その後も日本はレギュラー組の③安田理大、⑩柏木陽介などを投入して最後まで攻撃的に戦ったが、0-0のまま試合終了。 |

浅田 正直にいうと、試合前はここまで大胆に総取替えするのは「どうかな?」と思っていて。
佐藤 浅田さんとしては、あんまりよくないんじゃないかと?
浅田 順調な流れの中では、こういうことで得てしてケチがついたりするじゃない? 吉田靖監督も「賭け」といっていたけど、「凶」と出る可能性も大いにあるなって。でも、結果的には「吉」と出た。レギュラー組もサブ組のいい試合を見てウズウズして「次はオレたちが」という気持ちになっているし。
佐藤 サブ組からすれば、相手がナイジェリアだというのも結構大きかったんじゃないかな。いちばん強いと思われているところで、自分たちの出番が来たら盛り上がるよ。そういうところまで吉田監督が読んでいたとしたら、あの人は相当な策士だよ(笑)。
浅田 俊さんは、(日本が準優勝した)ナイジェリア大会も取材したじゃないですか? 決勝トーナメント進出も決まって、選手からも「優勝」を意識したような言葉も出てきたりするけど、今のチームの様子はどう感じます?
佐藤 同じだなと思ったのは、サブの選手の元気のよさ。短期決戦では、チームの一体感がすごく重要で、そのときにはサブの役割は非常に大きい。ドイツワールドカップで日本代表がなぜダメだったかというと、サブ組のモチベーションが低下したのが、チーム全体のモチベーションにも影響したからだと思っている。だから、サブ組とレギュラー組の間に気持ちの差がないというのは、99年とすごく似ている。
浅田 そういう意味では、99年のときは今日の試合のように、メンバーをガラッと変えることがなかったのに、いい雰囲気だったわけですよね?
佐藤 あのときは初戦でカメルーンに負けたんだけど、重要なのは実は負け方。負けたけど選手たちは自分たちのサッカーにすごく自信を持っていた。だけど、今回の場合は入り方がすごくよかった。そんなに自信があったのかはわからないけど、3-1と理想的な勝ち方をして、ポーンと勢いに乗っちゃった気はする。
浅田 前回の対談でも話が出たのは、対戦順がよかったんじゃないかという。
佐藤 確かに。逆にナイジェリアと最初に当たったら、もっと苦戦していただろうし、慎重に戦わなきゃいけなかっただろうし。3戦目で当たったことで、サブ組を使って「失うものはない」という感じでぶつかっていけた。
危ないシーンは何本かあった中でゼロに抑えたというのは、サブの選手の自信になったと思う。これからレギュラーに何かあったときを考えても。日本にとっては勝ちに等しい引き分けなんじゃないかな。
浅田 うん、かなりよくやっていたと思う。サブ組のモチベーションはすごい高かったけど、だからといって、落ち着きがないというわけでは全然なくて。一人ひとりが自分のやることをちゃんとやっていた。
でも、ナイジェリアは引き分けだったら2位で、次はザンビアと当たるのがわかっていたから、引き分けでOKと思っていたのでは。
佐藤 それは想定していたんでしょう。あれが勝ちに行かなければいけない状況だったら、前半からもっと攻めてきただろうし、途中で主力の選手を引っ込めることもなかっただろうし。後半30分過ぎからは、お互い「もういいでしょ」という感じになっていた(笑)。
浅田 ナイジェリアとしては、チームの士気に関わるから、負けるのは避けたかったんだろうけど。
佐藤 だから、ナイジェリアは香川のゴールが取り消されたのには、だいぶ救われたんじゃないかな。
浅田 あれがゴールになっていれば、少なくとも1点は取り返しにきていただろうね。
佐藤 もし仮に日本がナイジェリアに負けたとしても「対アフリカ」のゲームを経験できたのは、すごく大きいことだと思う。
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