菊地 スペインが優勝したのは良かったんじゃないですか? 前回はギリシャが“勝っちゃって”。雑誌も売れず。結構痛い目に遭いましたからね。
北 「今回こそスペイン」という声もある一方で、「スペインは優勝できない」という声も根強かったですよね。
菊地 「無敵艦隊」なんて呼ばれてるのにね。久々にいいますが、「手あかまみれ」の表現!
北 「無敵艦隊」と「優勝できない」という、相反する言葉が使われてるチーム。「無敵艦隊・スペイン、やはり敗れる!」みたいな(笑)。
小池 負けるんじゃ、無敵じゃないだろう、ってね。今回のスペインはFW陣が日替わりで活躍したのが大きかったと思う。初戦でビジャがハットトリック、Bチームで戦った3戦目ではグイサが決めたり、決勝でF・トーレスが決勝点。
菊地 MVPはFWの3人で分けたほうがいいですよ。今までもパスは回っていたけど、最後の“攻撃の抜け”が悪かったじゃないですか。決まる決まらないに限らず、相手をビビらせるシュートを打ち続けた、攻め切ったというのが、スペインが最も変わったところじゃないかな。
北 2度のロシア戦で、スイッチを入れてもらっていたのも大きいのでは。開幕戦で4-1で勝って滑り出して、準決勝でも3-0で勝って勢いをつけた。スペインはヒディンクに足を向けて寝れないですよ(笑)。
清水 あの相性の良さは何なんでしょうね。スペインが相手になると、ロシアはいきなり弱小になっちゃう。
小池 スペインの中盤の選手はすごくうまいんだけど、プレーの一つ一つを分解してみればとてもベーシックなことをやっている。敵の動きの逆を取ってトラップする、敵が突っ込んできたら簡単にはたく、っていう。
清水 基本はパスをはたいて、それが無理ならかわしてタメる。全員が二段構え。
小池 決勝では、シャビのすごいところを久しぶりに見たというか。ほとんどミスがなかったもんね。つなぎにしても何にしても。ターンも速いし、体の向きも間違えないし。
清水 スペースが狭くなった現代サッカーで、あれだけスルーパスを出せるのはシャビぐらい。
小池 シャビ→イニエスタっていうのを何度見たことか。
菊地 あれはイニエスタ→シャビじゃないんですか? 体が似ているからメモをよく間違えましたよ(笑)。シャビが8番で、イニエスタが6番、あれ、逆だったっけ(笑)? うん、もーう。や・や・こ・し・やぁ~。
小池 スペインのパス回しは日本にもできるでしょう。
菊地 体も小さい、パスワークを好む、球際のかわしも大好き。そういう点で日本に似てる。でもそれを日本が世界相手にできないのは、地理的、環境的な問題もあるでしょうね。以前、このサイトの対談で、「日本はUEFAに入るべき」って後藤健生さんがいわれていたけど、激しく賛成ですね。
北 日本人は、スペインに自分たちを重ねて見ていたところはあるんでしょうね。
菊地 そうだろうね。
清水 ただ、あの人たちはラテン系ですから。僕はドイツに一時期住んでいて、スペインへ取材に行ったときに感じましたけど、「人をダマしてナンボ。ダマされるほうが悪い」という考え方が当たり前なんですよ。だから、日本とスペインでは見かけは似ていても、頭の中身は全然違う。それはハッキリいっておきたいですね。
菊地 なるほどね。
清水 僕が感じた、日本とスペインのいちばんの差はサイドバック。日本は基本的に上下動だけど、スペインは縦にも中にも切り込める。ボールキープも落ち着いてできるし、パス出しのタイミングもいい。ドイツのラームなんかもそう。日本がムービングフットボールを志向するなら、サイドバックの成長が絶対に必要ですよ。
菊地 日本では、サイドバックが主従関係の「従」なんですよ。センターラインの選手がパスを出して、サイドの選手を使う、走らせると。でも世界ではサイドバックが「主」になりつつある。世界のサッカーでは、サイドの選手が、センターラインの選手を使って走らせるみたいな傾向も出てきているから。
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