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北京オリンピック取材記 追跡! 反町ジャパン

2008/8/13

北京オリンピック取材記 追跡! 反町ジャパン vol.6

清水英斗(本誌) 構成

グループBの状況は、ナイジェリアとアメリカが勝ち点4で並び、オランダが2、日本は0となっている。第2戦でアメリカと引き分けたことで、オランダは苦境に立たされている。オランダが確実にグループリーグ突破を果たすためには、日本に対して2点差以上をつけて勝つことが必要だ。必死で攻めてくるに違いない。
日本はそんなオランダに対して、どんな戦いができるのだろうか?

隠れた化学反応が起きた、なでしこジャパン
反町ジャパンが最後にできることとは……

死力を尽くしたナイジェリア戦の代償は、非常に大きかった。

日本の攻撃のストロングポイントになっていた、両サイドバックの内田篤人と安田理大が負傷し、オランダ戦の前日練習で2人とも別メニューでの調整となった。最終戦の出場は難しいだろう。左サイドバックには長友佑都が入り、右サイドバックには森重真人、もしくは細貝萌が起用される見通しだ。

さらにユーティリティーな活躍をしていた本田拓也が、イエローカードの累積で出場停止。ベンチ入りは、GKを含めて4人という寂しい陣容になってしまう可能性がある。体も心もボロボロに傷ついてしまった反町ジャパンだが、2点差以上の勝利を目指すオランダはそんなことお構いなしだ。最後に反町ジャパンができることは何だろうか?

話は変わるが、12日(火)、佐々木監督率いるなでしこジャパンは奇跡を起こした。強豪ノルウェーを相手に5-1の大逆転劇。最後を決めきれないチームという印象を、見事に覆して見せた。

実はなでしこが起こした奇跡には、グループGにおける隠れた化学反応があった。この試合は上海で行われたのだが、僕は男子サッカーの取材で瀋陽にいたため、なでしこの裏カードである「アメリカvsニュージーランド」をスタンド観戦していた。ここから先、なでしこの試合内容については、他人から聞いた情報であることをお断りしておく。

日本と同じく1分1敗のニュージーランドは、勝つ以外にグループGを突破する方法はなく、開始直後から積極的にアメリカを攻め立てた。ところが地力で勝るアメリカがそのすきを突いてゴールを挙げ、前半を2-0で折り返す。

この結果にあせったのは、上海で日本と戦っていたノルウェーだった。すでにグループリーグ突破を決めていたノルウェーだったが、問題はその突破順位。2位通過になってしまうと、F組の1位、ブラジルまたはドイツという強豪と戦うことになってしまう。それだけは避けねばならない。

ところが瀋陽でアメリカがニュージーランドを相手に得点を稼ぎまくっていたことで、必然的にノルウェーも日本に対して攻撃に出る必要性が高まった。それが後半開始直後に起きた、ノルウェーの猛攻撃である。これによって日本はピンチを迎えたものの、逆にカウンターでの得点チャンスも増えた。つまり、なでしこが起こした奇跡は、いくつもの化学反応によって助けられたものだったといえる。

ニュージーランドがあせり、アメリカがそのすきを突き、それによってノルウェーがあせり、日本がそのすきを突いた。結局、最後に笑ったのはアメリカと日本である。アメリカは1位突破を決めて、グループE3位のカナダと対戦。日本は他グループとの勝ち点差によってギリギリで3位突破を決め、グループE1位の中国と対戦。そしてノルウェーは哀れ、2位突破したにもかかわらずグループF1位のブラジルとの対戦となってしまう。何とも面白い、女子特有のリーグ戦の妙だった。

もちろん、そんな化学反応が現実になったのも、なでしこに本物の実力があったからなのだろう。

反町監督は「最後に意地を見せたい」と語っていたが、今日のなでしこジャパンの活躍により、僕らが求める“意地”のハードルもずいぶん上がったような気がする。

引き分けによってオランダのグループリーグ突破を“防ぐ”だけではなく、日本が勝つことでオランダを、グループBの最下位に“叩き落して”ほしい。無茶な注文であることは百も承知だが、少なくともなでしこはそれだけの働きをした。

オランダ戦を楽しみに待ちたいと思う。

瀋陽オリンピックスポーツセンタースタジアムの正面から
瀋陽オリンピックスポーツセンタースタジアムの正面から

北京オリンピック取材記 バックナンバー

vol.1

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対談
vol.2 アメリカ戦
対談
vol.3 vol.4 ナイジェリア戦
対談
vol.5 vol.6 オランダ戦
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