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トップマッチレポート>2011アジアカップカタール 日本代表-韓国代表 対談レポート[1]

Match Report マッチレポート


2011/1/28

2011アジアカップカタール 日本代表-カタール代表 対談レポート

飯尾篤史(サッカーダイジェスト記者)、清水英斗(本誌) 構成

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1月25日(火)/16:25キックオフ/ドーハ(カタール)・アルガラファスタジアム/試合時間90分/観客16171人

日本
1-1
0-0
延長
1-0
0-1
PK
3-0
韓国
前田(前半36分)
細貝(延長前半7分)
得点者 キ・ソンヨン(前半23分)
ファン・ジェウォン(延長後半15分)

前半押し気味にゲームを進めた日本だったが、PKで韓国に先制されてしまう。しかし、前半のうちに鮮やかな展開から1点を返し、その後もチャンスを作ったが後半失速し、試合は延長戦へ。今度は日本がPKを得てリードしたが、延長後半終了間際に韓国に同点とされた。勝負はPK戦にまでもつれた末、日本が勝利して、決勝進出を果たした。


前半に魅せた
アジアのバルセロナ

清水 日韓戦、どうでしたか? 最後の最後で日本は追いつかれてしまい、結局、PK戦には勝利したものの、記録的には引き分けという扱いになったわけですが。

飯尾 まず、韓国は2戦続けて120分を戦ったわけで、さらに中2日での試合。日本は中3日で休みが1日多かったですよね。それでも勝てないのかっていうのはあるし、後半から延長はずっと韓国ペースで、日本は流れを変えることは最後までできなかった。

清水 後半、日本は運動量が落ちましたよね。前半はかなり流動的に動いてゲームを作っていたけど。

飯尾 そうなんですよ。本田圭佑には2人ぐらい守備が来ていたけどボールを奪われないし、そこに敵が食いついたことで空いたスペースに香川真司と岡崎慎司が入っていけば日本はチャンスを作れていた。前田遼一に対しても、今までに比べれば、韓国のセンターバックは本田圭にはプレスに行くけど、前田が下りてきたときはあまり行かなかったのでボールを持てて。クリアされても拾ってまた攻め続ける、いい循環になっていました。もう1、2点取れるチャンスがあったんだけど。

清水 前半、韓国が抑え気味にゲームを進めたことも影響しましたね。コンディション的に不利なのは分かっているので、延長も視野に入れて、あえて前半を抑えることで韓国はフィジカルの条件をイーブンにしようとしたのかなと。

飯尾 日本の前半のいい流れを見ていたから、後半、韓国にペースを握られたけど、また日本に戻って来るだろうと思ってたんですよね。ただ、いつ来るのか、いつ来るのかと思っていたら、結局そのまま流れは戻って来なかった。

清水 日本が日本らしいサッカーをできたのは、60分が限界だったと思うんですよ。そこで僕が思い出したのは、2009年9月に行われたオランダ遠征。0-3でオランダに負けた試合です。あのときも日本がいいサッカーを60分やった後、オランダに試合を持っていかれた。やっぱり日本の限界は60分なのかと、今回、再確認した部分はあります。

飯尾 なるほど。

清水 カタールのメツ監督の発言以来、「日本はアジアのバルセロナ」っていわれているじゃないですか。前半はその言葉に違わぬ流動性やコンビネーションを見せていたと思うんですよ。特に香川や遠藤保仁あたりを中心に。

飯尾 香川は相手のギャップに入るのが本当にうまいし、今の日本はそこにしっかりボールが出せて、さらに両サイドバックも絡める。ただ、それがもたなかったのなら、ペース配分をして、後半の終盤にもう一度見せてほしかった。

清水 時間を限定して考えれば、遠藤はシャビみたいだったし、香川もメッシやイニエスタのような匂いを感じさせたけど、それはあくまで短い時間での話。で、最近のエル・クラシコ(バルセロナvsレアルマドリード、5-0)の試合があったじゃないですか。あのときのバルサはハイテンションを保ちつつ、決定機をどんどんモノにして試合を楽に運んだ。一方、今回の日本は外しまくって、1点しか取れない。ここがまず、アジアのバルセロナと本物のバルセロナの大きな違いの一つですよね。

飯尾 バルサは得点を決めたら、守備にも生きるポゼッションというか、相手に攻撃チャンスを与えないスタイルに変わるけど、日本の場合はあそこで決め切れないと、ポゼッションがままならなくなるのはありますね。

清水 そこは日本の課題ですよね。小さいように見えて、実はすごく大きな……という気はします。

飯尾 ただ、それでも韓国相手に前半見せたサッカーは、ザッケローニの可能性を見せるものであったのは間違いないですよね。

清水 前半、日本がよかったのはなぜだと思います? 先ほど(翌日練習終了後に)前田に聞いたら、「う~ん。何でですかねえ。よく分かんないです」って感じで終わっちゃったんですけど(笑)。

飯尾 裏を突く人と、バイタルエリアを突く人、サイドを突く人という3つのカードを、日本は確保してると思うんですよ。そこに本田圭や遠藤、あとはカタール戦で香川に出したように長谷部誠までも鋭い縦パスを狙ってくるようになった。韓国は前に行けば岡崎に裏を取られるし、岡崎をケアすれば本田圭や香川にバイタルを使われる。前にもいけず、結局韓国が止まらざるを得ない状況を日本が作れていた。攻めが上手になっていた。

清水 前半はサイドバックが両方とも、優勢でしたよね。

飯尾 それができるのが、ザックのいうプレースピードやパススピードの速さと、縦への意識。それに遠藤をはじめとしたプレー精度の高さがあるのかなと。

清水 縦パスの出し入れを多く使ってましたよね。出しただけじゃなくて、入れて戻す、入れて戻す、という縦方向のボールの動きが多かった。こうなると韓国は、ボールを追って体勢が前後にグルグルと振られることになり、マークにつき切れなくなる。

飯尾 そうですよね。やっぱり香川や本田圭は怖いから、そこに韓国は2人が行かざるを得ないというのがあって、得点シーンでも3人ぐらいが本田圭にプレッシャーをかけてその裏へ長友佑都が走った。そういうのが、いい時間帯、体力があるうちは日本はある程度できるようになっているのは間違いないですね。

清水 韓国vsイランでもそうだったけど、韓国はボランチも含めてボールサイドにかなり寄ってプレッシャーをかけるんですよね。

飯尾 そこで奪える自信があると思うんですよね。実際、グループリーグやイラン戦では奪えてきたんだろうけど。

清水 でも、日本は本田圭がそれをさせず、いいボールのもらい方でキープしてスルーパスを出せたところが、この試合では一つのポイントになりましたね。ただ、先ほど長谷部の縦パスがいいといわれていたんですけど、僕はずっと、長谷部にはパスセンスはない、と思っていて。いい縦パスを入れているときは、だいたいワンタッチパスなんですよ。相手が寄せてきて、選択肢はまさにそこしかないという状況で通すことが多い。遠藤と長谷部のいちばん大きな違いは、ボールを持っているときに、遠藤は自分でタイミングを作って出せるけど、長谷部は周囲からタイミングが与えられたときしか、いいボールを出せない。

飯尾 長谷部の場合は、ある種、イチかバチかのパスというか。そこでズレてもOKみたいなパス。遠藤の場合は計算に入れて、ダイレクトのときとツータッチで出すときなどを使い分けてますよね。

清水 まさにそう。味方にどういうプレーをさせたいのか、遠藤のリズムの作り方は明確なんですよ。長谷部の場合は、とりあえず鋭いパスを突くけど、その後はパスの受け手任せというところはある。

飯尾 そこは全然違いますよね。長谷部の場合は、ボールを持ってサイドチェンジというときに、セーフティーにいきたいところで結構引っかけるじゃないですか。ただ、長谷部に関しては、うまさというよりは、そこを躊躇(ちゅうちょ)せずに無意識的に、狙うっていう意識づけがこのチームに加えられているのかなと。カタール戦で最後に香川へ通したパスも、「1人少ないし、あそこをイチかバチかで狙うしかなかった」と長谷部本人もいってますけど、そのまま右サイドを上がっているフリーの伊野波雅彦へ展開する選択肢もあった。むしろ今までの日本代表はそういうシーンのほうが多い。そこをあえて中央へ通したのが、このチームの意識というか、よさだと思いますよ。

清水 そうですね。もちろん、技術的に多少劣るところがあっても、やっぱり長谷部はチームを引っ張るメンタル面を含めて、絶対に外せない存在なのは間違いないですし。そういう意味でも、遠藤と長谷部の2人は、やっぱりチームの心臓なんだなと思いますよ。

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