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トップマッチレポートAFCアジアカップ2007>グループリーグ 日本-ベトナム 対談レポート[1]

Match Report マッチレポート


AFCアジアカップ2007 マッチレポート

組み合わせ・大会日程
大会概要
2007/7/18
AFCアジアカップ2007 グループリーグ 日本-ベトナム
西部謙司(サッカーライター)、清水英斗(本誌) 構成
東南アジア4カ国共同開催による、アジアカップ2007。日本にとってはワールドカップに向けた強化、そしてコンフェデレーションズカップへの出場権など求められるものが多い大切な国際大会です。現地ベトナムにて取材中の清水英斗がさまざまなゲストをお迎えして、ストライカーDX名物の対談レポートをお送りします。
グループリーグ最終戦のゲストは、普段「弾丸ミドルシューター」でならしている西部謙司さん。テクニック面のマニアックなところにまで、深く突っ込んでみました。

ゲームのあらすじ
試合は開始直後から大荒れ。前半6分にCKから日本のオウンゴールで先制されると、すかさず5分後には中村俊輔のクロスから巻誠一郎が決めて同点に追いつく。その後は遠藤保仁の直接FK、中村俊のミドルシュート、最後はふたたび巻がヘディングを叩き込んで3点を追加。4-1の大差をつけて日本が勝利したものの、裏で行われた「カタール-UAE」が2-1でUAEの勝利に終わったため、日本とベトナムはそろって決勝トーナメント進出が決まった。

STRIKER DX名物 対談レポート
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戦術眼を持った、俊輔が変えた試合の流れ

清水 いきなり開始6分、衝撃のオウンゴールで始まりましたね。

西部 俊輔と加地がボールを譲り合うような形になって、そこからCKが生まれて失点につながってるんで。あのとき一瞬の集中力が欠けていた。そういうミスは練習中にもあるんだけど、それに対して誰も怒る人がいない。「これじゃ負けるぞ!」って大きな声を出すやつがいないんだよね。

清水 中澤佑二や阿部勇樹にしても、そういうタイプじゃないですね。

西部 味方を怒ることができるのは、それだけ上手い選手か、年で上をいってる選手か、もしくは……そういう怒りキャラか(笑)。誰もやってないよね。たとえば水野晃樹が言ったら、間違いなく雰囲気が悪くなると思うんだけど、川口能活や中澤なら言っても問題はないはずだよね。俊輔でもそうだしさ。でも誰も言わない。「チームに責任を持つ」ってタイプの選手がいないんだよね。

清水 もしも闘莉王がいたら、言うかもしれませんね。

西部 そうだね。闘莉王なら言う。でも今はそういう選手がいないから、ああいうミスは出ちゃうよね。で、そのミスからつながったオウンゴールだけど、日本の選手が試合前に思ってたのは、ベトナムは4-4-2で来るだろうってことだったんですよ。

清水 実際は違いましたよね。ベトナムはカタール戦でゴールを挙げた18番のファン・タン・ビンを下げて、9番レー・コン・ビンの1トップで試合に入りました。1枚FWを減らしてDFラインの前を厚くしたぶん、ベトナムのバイタルエリアは混雑して、遠藤や高原も中央でボールを失っていましたね。

西部 そう。日本の選手は、「相手は4-4-2で来るだろうから、DFラインと中盤の間に入ればチャンスは作れる」と思っていたわけですよ。その考えは正解。ただ、ベトナムが敷いて来たのは4-1-4-1だったわけ。DFラインと中盤の間を埋める1枚が存在した。だから実際は中央にスペースがなくて、サイドが空くってことなんだけど、それにいち早く気付いたのが、俊輔だった。

清水 それが1点目。俊輔が左サイドからDFをかわしてクロスを上げたプレーだったわけですね。俊輔はその後も意識的にサイドに開いてパスをもらうようにポジショニングしていました。このあたりはさすがですね。技術もすごいけど、ゲームの流れや状況を見る目も正確だし、見抜くのが早い。

西部 俊輔の切り返しなんかもそうだよ。引きずるようにターンができたり、180度以上のターンができたりっていう技術的な部分もあるけど、いちばんすごいのは「ここはクロスしかない!」って想像する場面で逆に切り返すことなんですよ。たとえば、遠藤がクロスを上げてもいいシーンで、裏をかいてサイドチェンジのパスが俊輔にきた。そうするとDFは「今度こそクロスだ」と思うよね。その心理を逆手にとって切り返すから、絵に描いたように敵を置き去りにできるわけ。スピードはないのに。

清水 ただ、その俊輔のイメージに付いていってなかった選手もいましたね。わざわざ狭い中央にパスしてしまい、奪われてカウンター攻撃を食らうシーンも多かった。プラン通りにやったといえばその通りですが。

西部 高原直泰でさえ、序盤は中央でボールもらおうとしてたからね。今日の俊輔は3試合でいちばん良かったよ。1試合目は全然ダメで、2試合目で少しオッと思わせるプレーを見せ始めて、そして今日はさすがとしかいえないプレーだった。徐々に上がってきてるね。

清水 ちょっとバタバタしちゃった選手もいる中で、俊輔の落ち着いた戦術眼は頼もしかったですね。しかしあの先制ゴールで、ベトナム人たちの浮き足立ちっぷりといったら、ものすごかったですね(笑)。「こりゃ勝てるぞ!」と思ったんでしょうね。日本を最強と認めながらも。

西部 ベトナム人たち、意外と単純だから(笑)。

清水 巻のゴールで1-1に追いついたとき、僕はこう思いましたよ。「何かドイツワールドカップの、日本対ブラジルの展開に似てるぞ……」って。そうしたら本当に同じスコアになっちゃいました。運命は皮肉というか何というか。試合前から「最強の敵」と恐れながらも、早い先制点で希望を抱いたところなんて本当にそっくりでしたよ。

西部 ただ、ブラジルと日本の差以上に、日本とベトナムの差は大きいですから。本当はもっと得点を取って勝てたんだけどね。

清水 後半は異常な雰囲気でしたね。突然、意味不明なタイミングで観客が盛り上がる。彼らの様子を見てみると、両手の人差し指を一本ずつ大きく掲げている。何だ? と思ったら、ホーチミンで行われている「UAE-カタール」の試合経過(1-1)だったんですね。ハノイで日本が3点目を取ろうが4点目を取ろうが完全に無反応。ひたすら人差し指を掲げている。切り替えが早いというか、単純というか(笑)。おかげで日本も罪悪感を覚えることなく、ハノイに残ることができます。大波乱で始まったものの、終わってみれば実にスッキリとした結果を残したグループリーグでした。

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17時20分キックオフだったこともあり、最初は空席が目立った。後半が始まるころには満員に。
17時20分キックオフだったこともあり、最初は空席が目立った。
後半が始まるころには満員に。

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