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Match Report マッチレポート

AFCフットサル選手権大会日本2007 マッチレポート


組み合わせ・大会日程

AFCフットサル選手権 大会プレイバック

大会実施概要
2007/5/8
AFCフットサル選手権大会日本2007
壮行試合 第2戦 日本-アルゼンチン 対談レポート
菊地芳樹(本誌)、北健一郎(本誌) 構成

5月5日(土)/14:00キックオフ/大阪府・大阪市中央体育館/観客2735人
日本 1(0-0、1-0)0 アルゼンチン
得点者
(日)木暮

ゲームのあらすじ
第1戦を2-4で落とした日本は、その試合で動きの良かった北原亘、岸本武志をスタメンに抜擢。前半の日本はパスワークでアルゼンチンを自陣に釘付けにするものの、ゴールには至らずスコアレス。しかし後半35分、左サイドで縦に突破した“エース”木暮賢一郎が逆サイドネットにシュートを突き刺し、遂に先制。この1点を守りきった日本がアルゼンチンに勝利し、1週間後に開幕するAFCフットサル選手権へ弾みをつけた。


「のんびり」から「真剣勝負」モードに

  アルゼンチンとの壮行試合は大阪市中央体育館に場所を移して、第2戦が行われました。まず、最初に皆さんに謝らなければいけないことが……。

菊地 移籍先が未発表だった稲葉洸太郎の所属がパンフレットで「バルドラール浦安」になっている、と第1戦の対談レポートで話したんですが、これは間違いだったそうです。

  チーム関係者に聞いたところ、「まだ全然決まっていません」とのこと。第2戦で配られたパンフレットでは全部修正液で塗りつぶされていました。稲葉選手、バルドラール浦安、読者の皆様には、お詫びして訂正申し上げます。
では、試合の話にいきましょう。今日はFPのスタメンに北原、岸本の2人を抜擢。この狙いはどの辺にあると思いましたか?

菊地 単純に第1戦で、新人の北原と岸本が予想以上にいい出来だったからでしょう。

  いいプレーをすれば、スタメンで出られる。すごく単純なことなんですけど、サッポ監督はあまりメンバーをいじりたがらないから、個人的には驚きでした。

菊地 第1戦からの変化としては、敵へのプレスが第1戦よりもタイトになって、パスの回し方も見違えるように速くなった――そういう意味では、このスタメン変更はすごくいい結果に表れていたと思う。「のんびりムード」だった第1試合の反省を生かして、襟を正したというか(笑)、そんな印象を受けた。

  第1戦は海外組(木暮、小野大輔、鈴村拓也)+藤井健太というスタメンだったんですが、相手の出方を見ているうちに、アルゼンチンにペースを握られてしまったところがあった。今回のアルゼンチンとの日本の力関係を考えれば、プレスをかけて慌てさせるぐらいがちょうどいい。
  それは本大会でも同じこと。自分たちが格上だからといって、あんまり受けて構えるのは危ない。

菊地 神戸(第1戦)だけ見に来たお客さんはかわいそうなんだけど、明らかに今日は「試合モード」だったよね。1戦目では選手をシャッフルして、どんなことが出てくるか試していたところがあって、2戦目はそういう要素もありつつも、本番のことも考えて勝ちにいった試合だった。

  アルゼンチンのラリャニャーガ監督が「ワールドカップの準決勝ぐらいの試合」といっていた。日本とアルゼンチンがワールドカップ準決勝で戦うかどうかは別にして(笑)、それぐらいの真剣勝負を本番前に体験できたことは大きかった。

菊地 大きかったね。アルゼンチンも日本の空気を察して、すぐ守備的なモードに切り替わったから。AFCフットサル選手権の準々決勝以降のシミュレーションにはなった感じはする。ただ、アルゼンチンは全然攻めてこなかったから、守備面のテストとしてはどうかなと思うところもある。結果的に0点に抑えたのは立派だけど。

  サッポ監督がアルゼンチンを壮行試合の相手に選んだ理由の一つとして、イランに似ているからだといっていた。彼らのプレースタイルは、イランというよりも、ウズベキスタンに近いと感じたんですが。

菊地 まあ、体格的にも大きいし、個人のボールを扱う技術も下手ではない。それはアルゼンチンだから当然なんだけど。そういう面を考えると“仮想イラン”というのもなるほどなと思ったけど。

つなぎまくるも、シュート打てず

  今日は前半、特にファーストセットは1タッチ、2タッチでつなぎまくったんですが、なかなかフィニッシュまで結びつけられなかった。

菊地 結局その状態は後半の途中まで続くんだけど。日本のパス回し自体が速かったのは事実だけど、アルゼンチンもそれに対してプレッシャーに来なかったから、速く回せていただけであって。

  アルゼンチンがマンツーマンでついていこうとすれば、綻びも生まれたんでしょうけども。今日のゲームを他国がスカウティングしていたとしたら、アルゼンチンの守り方は日本対策のいい見本になると思う。
  特に前半は全部パスだったんで、日本はどこで勝負するのかタイミングがわからなかった。シュートも、記者会見でサッポ監督は「前半18本のシュートを打った」といっていたけど、公式記録にカウントされているのは10本。つまり18本のうち半分近くが目の前の敵にぶつかって、公式記録にはカウントされなかったのではないかと。

菊地 パス回しにしても横の揺さぶりしかなくて、縦の出し入れであるとか、裏を取るという動きがほとんどなかった。アルゼンチンとしては横にポジションをスライドするだけでいい。

  ハーフタイムには木暮が「もっと1対1で勝負させてくれ」といったそうですが。

菊地 今回の試合で顕著だったのが、左サイドで木暮が仕掛ける形。FP4人の構成からいって、木暮はピボとして使われていたはずけど、全然真ん中に張らないで、左サイドに流れてボールをもらっていた。ただ、木暮のところの1対1で勝負すれば、勝てる可能性が高かった。サッポ監督からもタイムアウトにその辺の指示があったみたい。

  スペイン代表でも、左サイドからのドリブルが得意なハビ・ロドリゲスがボールを持つと、他のFPが1対1を邪魔しないようにスペースを空けてあげたりする。僕が日本代表にお願いしたいのは、これを山蔦一弘にもやってあげて、ということ。

菊地 山蔦の一番の魅力は左サイドでの大きいかわしと、そこからのシュート。でも、彼の良い部分が出る場面が全然ない。そこを生かしてあげないと。山蔦自身もチームの中でそういうリクエストを出すべき。

  突破力とシュートはすごいものを持ってますからね。

菊地 そして35分、それまで何度もシュートをブロックされてたんだけど、木暮が縦に突破してゴールを決めた。盛り上がってホッとしたよ。だって、35分間も同じシーンを繰り返し見せられていたわけだから(笑)。

  自分で「勝負させれてくれ」っていって、ちゃんと決めるあたりはさすがですね。

幻のブザービーター

  ただ、いただけないのはそれから。日本のゴール決まってからは、アルゼンチンも攻めに出て来て、ピンチの連続! 木暮、金山、北原、鈴村を10分近く引っ張ったので、疲れも見えていた。

菊地 あの4人はかなりボールを回せるセットだから、時計が進むのが早かったのもあるかもしれないけどね。失点直後からアルゼンチンはGKを上げた形でパワープレーを始めた。パワープレーのときって交代がすごく難しいっていうじゃない? 疲れうんぬんに関わらず、交代すると守りのリズムや流れが変わって失点しやすいと。それで残り2分半ぐらいになってからやっとセットを代えたんだけど、かなりバランスが悪くって、アルゼンチンにいいように回されてしまった。アルゼンチンが38分にタイムアウトを取ったときは、サッポは完全に興奮状態になっていて、記者席に聞こえるぐらい大声で選手に指示を出していた。

  あそこは守備の専門家といえる選手、ベンチにいた中だと小宮山友祐がよかったのではないかと。守備の陣形の一番底に収まるのが、比嘉リカルドなのか、藤井なのか、かなりあやふやで、選手が混乱しているのがこっちにも伝わってきた。

菊地 それから、ボールにしっかりアプローチできる選手も。前のセットでは金山がやってたんだけど、誰もアプローチにいけなくなって、第2PKマークのラインのところまで押し込まれてしまった。
  マイボールになっても、サッポはピッチサイドで「プレス回避の方法をやっただろう!」って指示しているんだけど、全然できず。日本の左サイドのほうにボールと選手を集められて、逆サイドにGKが上がってきた。「危ない!」と思ったところにパスを出されちゃった。そして、マークが飛び込みーの、GKが中にかわしーの、シュート打ちーの、決まりーの!

  ゴールを決めたアルゼンチンのGKエリアスは今回のメンバーの中では一番印象的な選手ですね。セービングもうまいし、パスも、シュートもFP並みにできる。

菊地 パッと時計を見たら「00:00」で、「うわー、ギリギリでやられちゃったよー」って。そしたら、主審はゴールだけど、第2審判がノーゴールだという。タイムキーパーに確認したら「シュートが決まる前にタイムアップしていた」ということで、1-0で逃げ切った。

  ある意味では1番ベストな形で終わったのではないかと。結果的に勝利することができたけど、チームはあのシュートで危機意識を高く持つことができるだろうし。見ているお客さんにも、「フットサルって最後まで目が離せない競技なんだな」っていうスリリングさを提供できたと思う。

菊地 ああいう展開は関東リーグだと3回に1回はあるけどね(笑)。

  確かに(笑)。

神戸の可能性

  さて、今日も壮行試合の前にシュライカー大阪とデウソン神戸のエキシビションマッチが行われましたが、結果からいうと3-3の引き分け。

菊地 大阪がよくなかったことと、神戸が1戦目から修正してきて、拮抗した試合になった。

  3日の試合の後に、僕らはサポーターとフットサルをするために、ワールド記念ホールの近くにあるセレゾンポーアイフットサルクラブに行ったじゃないですか? そこで神戸チームがクラブハウスで試合の映像を見ながらミーティングをしていた。今日はその成果か、大阪に攻撃のいい形を作らせなかった。

菊地 大阪は原田健司(監督)と岸本がいない中で、彼らに乗っかってきたメンバーが中心になった。だけど、神戸に構えて守られると何もできなくて、攻撃が岸本頼みだというのを感じた。
  神戸のほうで目立ったのはフィクソの山元優典。後ろから上がって2人ごぼう抜きでかわしたり、チャンスによく絡んでいた。

  大阪には攻撃のリズムに変化をつけられる岸本がいなくて、攻めが単調だった。だから神戸も第1戦で慣れてしまったんだと思う。

菊地 原田監督も「岸本がいなくても、誰が出てもできるようなチームにしたい」といっていたけど、本当にその通りだと思う。今日の大阪は攻撃では1つのパターンしか出てこなかったけど、それだと見ているほうとしても面白くはないから。

  神戸についてはどうですか?

菊地 個々のプレーを見れば、決して下手ではないじゃない? ただ、フェイクをかけて裏を取る動きとか、そういうフットサルの戦術にまだ慣れていなのは事実。チームの浮き沈みがあるとはいえ、2試合目でこれだけできれば、よくなる可能性はあると思う。あんまりダメだ、ダメだいわなくても、よいところを探していけばいいのでは。

  神戸のゴールにはカウンターでバーッと駆け上がって決める、気持ちのいいものが多かった。ああいうスタイルは観客にとっても魅力的だと思う。

菊地 試合後に神戸は上永吉英吉代表、大阪は原田監督がコメントをしたんだけど、上永吉代表が「まだ時間はたっぷりある」といったのに対して、原田監督は「時間がない」といっていた。すごく対照的で面白いよね。


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