第5回AFCフットサル選手権
超アウエーでの決勝戦で
イランに肉迫!
私は2002年からアジア選手権を見続けているがもっとも印象深い大会が、この2003年大会である。本来であればこの年に日本での開催が予定されていたのだが、SARSの影響により直前で開催を返上。代替開催の地として選ばれたのがイランであった。
この年は清野乙彦や渡辺淳一ら元Jリーガーが選出され話題になったが、最大の変化は現監督であるサッポ氏がコーチとしてベンチ入りしたことであろう。これまで本格的な代表強化策が見られなかった中で、とても革新的な出来事であったのである。
グループリーグはクウェート、パレスチナ、マカオと同組であったが、全く危なげない試合運びで3戦全勝。準々決勝はチャイニーズ・タイペイ相手に快勝し、準決勝はタイとの戦いであった。
前年の大会で勝ってはいるものの、常に日本の背後にピタリとついてきているのがタイである。予想通り準決勝は非常に厳しい戦いとなった。いきなり先制される展開、だが成長株であった木暮賢一郎が決め同点に。思えば現エースである木暮が台頭してきたのがこの大会である。荒く激しいタイの攻撃が日本を追いたて試合は延長に。どうにか5ファールをもらい「第2PK職人」前田喜史が決め辛勝した。
そして決勝はまたしてもイランとの対戦である。この日のアサディスタジアムの異様な光景を私は決して忘れることができない。約1万人入ると言われた体育館が超満員なのである。会場の外には入場制限で止められている観衆までいるという。当然、全員イラン人である。日本にサポーターはいない。イラン人1万人対日本人数十人という超アウェーでの決勝戦が始まった。
開始直後に先制されると5分で3失点、前回大会の大敗が頭をよぎる。観客も高みの見物を楽しむように笑顔が見えた。だが、初優勝に至る日本の進化はこの時から始まっていたのである。難波田治のゴールで勢いづくと守護神・川原永光が神がかり的なセーブを連発し食い下がる。後半に入り一進一退を繰り返しながら、しかしスコアは4-5と1点差まで縮まっていたのである!! ここから会場の空気が激的に変化していく。
大ブーイングが起き、観客から様々なものが日本に対して投げ込まれる。私やライターも標的だ、私はこのときオレンジシュースをかけられている。結果敗れはしたものの、もしあの状況で日本が優勝していたら安全にスタジアムを出ることができただろうか、そう思わせるほど危険な雰囲気の中大会は終わった。
あの試合は今でも観客が勝たせた試合だと私は思っている。あきらかに日本の流れだったのだが、それをかき消したのがホームの空気感とそれに伴うイラン有利なジャッジにあったと思うのである。だから、あのとき大会が日本で開催され、イランに敗れていたらと思うとゾッとする。今ほど盛り上がりをみせていなかった日本で、イランに敗れていたらデメリットしかない。だが厳しいアウェーでの敗戦がもたらした経験は、今の日本にどれだけ血となり肉となっているかは計り知れないものがあると思う。
今大会の決勝カードがどうなるかわからないが、もしイランが勝ち上がってくるのであれば、あの時の“仕返し”をしてもらいたい。今度はイランにアウェーの厳しさを味わってもらう番である! |