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Match Report マッチレポート


2011/10/10

キリンチャレンジカップ2011 日本代表-ベトナム代表 対談レポート

北健一郎(フリーライター)、菊地芳樹(本誌)、松岡健三郎(本誌・カメラマン)構成

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10月7日(金)19:48キックオフ/兵庫県・ホームズスタジアム神戸/観客27522人/試合時間90分

日本代表
1-0
0-0
ベトナム代表
李忠成(前半24分) 得点者  

ザックジャパンのオプションシステム3-4-3で臨んだ日本だったが、格下のベトナム相手に思うようなチャンスは作れず、1点止まり。後半は選手を多く代えて、いつもの4-2-3-1でプレーしたが、こちらも腰の浮くようなチャンスは作れず、無得点に終わった。

裏に抜けた香川がシュート。
裏に抜けた香川がシュート。惜しくも決まらず。

システムによる、プレースタイルの違い

松岡 練習試合の度合いが高かったですが、試合はいかがでしたか?

菊地 3-4-3のテストをしたわけですが、どうなのかな?っていう印象がまだ強かったですね。

  タジキスタン戦の前に試合をしたかったとザッケローニ監督(以下ザック監督)はいっていたけど、それよりは選手の使い方やシステムを見ても、テストの傾向が強かったですね。

菊地 ピッチレベルで見ていると、ベトナムは日本と比べると、体の大きさの違いはあるわけでしょう?

松岡 そうですね。かなりベトナムは小さかったですね。当たりも弱かったです。

菊地 そういう相手に対して、慣れない3-4-3をテストしたとしても、もっとチャンスを作ってほしかった。それができなかったというのは、まだ完成度が低かったってことだよね。

松岡 (ピッチから見てると)伊野波雅彦と槙野智章から縦パスが入って、攻撃がスタートすることが多かった。でももっとゆっくり回してもよかった。攻撃側の準備が整う前に縦パスを出して、全体が連動していない気がしましたね。その2人の理解度が低いかったんですかね?

菊地 確かに伊野波は、そこを意識していたっていっていたけど。

松岡 特に槙野は横パスが少なく、前の長友佑都と香川真司にパスすることがすごく多かった。

菊地 でもその縦関係の3人でサイドで数的優位を作るのが、3-4-3のメリットで、そこから崩すことは指示されてるでしょう。

松岡 ただそのサイドばかり使うことで、ベトナムに読まれるようになって、パスがつながらなかった。もう少しボランチを経由して、テンポを遅くしてもよかった気がします。

  上から見ていると、逆にパスを受ける側の意識が足りなかったのかなとも思ったんです。監督会見の第一声は「スタートポジションが悪かった」。前半見ていたらわかると思いますけど、伊野波と槙野は、攻撃のときにサイドバックの位置に入りますよね。そのときにその前に長友がいて、さらに前に香川がいる。
 その位置関係が直線的になっていることが多くて、そうなるとパスの出し手側からすると、パスコースがなくなってしまいます。香川がもっと、相手のボランチとサイドの間に入って受ける動きをしないといけなかったのでは? それが前半15分くらいまで何もできなかった要因だと思います。
 3-4-3では、まずスタートポジションが普段とは違う。4バックなら長友からボランチを経由して、サイドに開いた香川に出す。3バックでやるときは、長友なり香川なりサイドが経由地点にならなきゃいけないはずだけど、それができなかった。 

菊地 FWの香川と藤本淳吾は、もっとFW的にプレーするべきだったのでは? つまり、相手DFラインの近くにいて、ラインの裏を取るようなイメージ。普段の4-2-3-1で香川がプレーしているサイドでのプレーは、長友がやらなきゃいけない。長友はクラブでもやっていたから高い位置でプレーできるけど、香川はちょっとイメージがなかったのかという気がする。

  香川が引いてきて、長友がその前の位置にいて、よくわからなくなっていた場面もありましたね。

菊地 香川はどうしても足元でもらって前向きにプレーしたいけど、このシステムでのFWは、もっとDFラインの近くにいて、裏へスルーパスをもらったりするプレーが必要なんじゃないかな。ゴールが入った場面はわりと理想的で、藤本が足元へ来たボールを大きくコントロールして裏に抜けて、李の得点をアシストした。

  DFラインとボランチの間に入って受けたり、裏も狙っていかないといけない、2パターンですか? もっとFWらしいプレーが求められるってことですか?

菊地 うん。だからFWは下がりすぎるのはダメだと思うね。あくまでもFWとしてDFラインの前で起点を作るのが基本。下がってくるとチーム全体が下がってしまう。

松岡 この試合、香川と藤本は3トップの役割ではなく、4-2-3-1のサイドハーフの動きをしたからダメだったんですね。

菊地 サイドハーフの役割は駒野友一と長友がやる。そこで同じ役割をしてしまったから、うまくいかなかったんじゃないかなあ。

  僕は逆の考え方で、藤本をあのポジションに置いた時点で、恐らくザック監督は藤本にFWの動きを求めてはいないと思います。会見でも「バイタルエリアで前を向いてプレーさせたい」っていってたんですよ。それってトップ下の選手に求めるプレーなので、それならもっと顔を出して、中央に近いポジションでプレーして、香川をウイングに押し出すような位置でプレーしたらよかったと思いますね。
 どっちがザック監督の理想像なのかはわからないですけど。

菊地 なるほど。長友も「もっと自分が、(香川)真司にバイタルエリアでもらわせるようにしたかった」っていってたね。外でスタートして、香川も藤本も中のバイタルエリアでプレーさせる狙いがあると。中に入ったことで、サイドハーフが縦に上がれるからね。

松岡 でも、2人とも中ではなく、縦が多かったですよね。

菊地 そうだね。もうひとつ、長谷部誠は「長友と駒野の位置からゲームを作っていくのが理想」だといっていたから、そこからあまりいいパスが出なかったのも、うまく試合が作れない原因だったかも。

  そこの選手のタイプが問題ですよね。前回は右が西大伍、左を安田理大。ザック監督はここにある程度ゲームメイキングを求めていて、そういう選手を使うことも考えていると思いますけど、今は完全に普段サイドバックの選手を使っている。
 だからサイドの選手のタイプによって、戦い方が変わってくるシステムなのかなって思いましたね。例えば藤本みたいにパスの出せる選手を置いてもいい。長友と駒野はそういうタイプではないけど、ゲームを作る役割をしなきゃいけなかったのが、うまくいかなかった要因だったと思います。起点になれずにパスの出しどころもなくて、簡単にクロスを入れてしまう場面もありましたね。

菊地 駒野はやっぱりサイドバックなんだよね。長友は少し理解していて、スタートポジションはきちんと高い位置にいた。
 僕もこの試合のやり方を見る限りでは、長友と駒野のところにゲームメーカータイプを置いたほうがいいように見えた。3-4-3のやり方はザック監督の中でもひとつではないと思う。いろんなバリエーションがあって、そのうちサイドにゲームメーカーが入ることもあるかもしれない。

  もちろん試合中はある程度4バックになることもあるので、ディフェンスの約束ごとも必要にはなってくるし、ディフェンスができることが条件になってくると思います。でもそれをクリアしている選手がいるのであれば、そういう使い方も面白いですよね。まだこのポジションはいろんな選手で試している感じはありますね。

菊地 別に、左右同じタイプの選手を置く必要もないわけでしょ。左が長友で、右はゲームメーカーとか。そういう点では後半も3-4-3を見たかったけど。

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