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トップマッチレポート【高円宮杯 第21回全日本ユース(U-15)】決勝 札幌U-15-神戸ジュニアユース

Match Report マッチレポート


2009/12/30

高円宮杯 第21回全日本ユース(U-15)サッカー選手権大会
決勝 札幌U-15-神戸ジュニアユース

菊地芳樹(本誌) 構成

09年12月29日(火)/11:30キックオフ/東京・国立競技場/観客7513人/試合時間80分

札幌ユースU-15
0-0
1-2
神戸ジュニアユース
神田(後半24分) 得点者 松田(後半13分)
小西(後半29分)

ゲームのあらすじ
神戸ジュニアユース(以下神戸JY)が、チャンスの数で圧倒しながらなかなかゴールが奪えない展開。後半13分にようやく先制したものの、その後札幌U-15も反撃してチャンスを作り始め、24分に同点とする。しかし、神戸JYは5分後に、交代出場直後の小西智貴の決勝ゴールが生まれ、神戸JYが優勝を獲得した。

チームの一体感で勝利
神戸JY、見事な夏、冬連覇

 前半からコツコツとチャンスを作り続けた神戸JYが、札幌U-15ゴールを常に脅かした。11分には、右サイド⑬阪本航也のクロスに、ゴール前中央で⑧高畑智也がフリーで飛び込んでヘディングシュートし、右ポストを叩いたシーン。20分には⑰鶴崎光の右からのクロスがゴール前で混戦になり、⑧高畑がシュートしたがGK⑯福永浩哉にブロックされる。いくつかの決定機があったが、ゴールを決められなかった。

 札幌U-15は、そうして神戸JYに攻められた後のゴールキックを、短くDFラインにつなげて、後ろから丁寧にビルドアップする狙いを繰り返していた。ところが、神戸JYの出足の早いチェックに、なかなか思うようにボールを前に運べない。中盤で敵の守備網に引っかかったり、無理に前線につなごうとするボールを奪われては、ディフェンスに回ることを繰り返した。「MFが顔を出せず、パスをつなげなかった。逃げちゃったのかな」(札幌U-15・名塚善寛監督)。

 また、この日は国立競技場の深めの芝に、選手たちがうまく適応できないようなシーンが多く見られた。パスが走らずにインターセプトされる。あるいはつながっても、敵のチェックが早く間に合って、球際勝負を強いられる。ドリブル勝負もドリブルが短くなったり、長くなったりで敵にカットされ、チャンスをフイにしてしまうなど、守備側優勢の局面が多く、攻める側にとってはもったいないミスがたくさんあった。

 ただ、球際のボール争いが多くなったところで、それをしっかりとマイボールにしたことが多かったのは神戸JYのほう。センターハーフの⑥宮村哲朗や⑭前田凌佑のボール奪取。あるいは②長原直紀、⑱岩波拓也の両CBの体を張ったディフェンスが、今日はとても目立っていた。それが、神戸JYが試合を優勢に進められた要因のひとつだろう。

 後半、先制したのは、そうやって執拗に攻め続けた神戸のほうだった。13分、⑧高畑のパスが、ペナルティーエリア内右の⑦川戸大樹に入る。そして⑦川戸からの横パスが中央の混戦を抜けて左へ流れたところで、フリーで入ってきた⑨松田猛が冷静に蹴り込んだ。

 ところが、ようやくの先制に落ち着いてしまったのか、この後神戸JYが受身に回り、札幌U-15が攻め込むシーンが増えてくる。17分ペナルティーエリア手前で細かくパスをつなぎ、⑩神田夢実が抜け出してシュートしたが、GK⑫藤田惇生がブロック。21分、スルーパスに抜け出した⑪下田康太が右からシュートしたが、ゴール左に外れるシーンがあった。

 それでも24分、⑩神田が左からワンツーを決めて同点ゴール。27蒲生幹のリターンを、ペナルティーエリア内に入ったところで左足を振りぬき、ファーサイドに決めたファインゴールだった。

 さてここからの苦しい時間帯で、どんな試合展開になるのか注目されたが、準決勝でも走力が目立っていた神戸JYが、見事な決勝点を挙げる。右サイドでボールを持った⑰鶴崎が、「まだそんなに走れるのか!」といった感じの、豪快なドリブルから敵を振り切って縦突破。グラウンダーのクロスがファーサイドに流れ、フリーで走り込んできた⑯小西智貴がシュートを決める。2分前に投入された⑯小西が活躍する采配も当たり、1点目と同じような形からゴールが決まった。

 その後は神戸JYが札幌U-15の反撃をしのいで試合終了。優勝を勝ち取った。神戸JYは8月のクラブユースも制していて、夏、冬の大会を連覇したことになる。「いい選手はいたんですが、最初のころは個人プレーに走る傾向があった。それがチームとしてプレーできるようになったのがよかったのかなと思います」(神戸JY・野田知監督)。ボールポゼッションを中心とした練習しかしていないとしながらも、個々の守備意識が非常に高く、球際の争いも頑張れる気持ちの強い選手が多いと感じられた。

 また、ケガで出場できなかった⑩和田倫季の代わりに、同じポジションで普段はベンチを暖めていて試合に出られなかった⑯小西が活躍するなど、選手層の厚さもあった。心技体のそろった選手たちが、一体感を見せてプレーしたのだから強いわけだ。

 神戸JYは、素晴らしい成功体験をいい経験にして。また札幌U-15はこの悔しい思いをいい経験にして、今後さらにいい選手たちになることを期待したい。

神戸JY・野田知監督
ここまで来たので、3年間やってきたことをすべて出し切ろうといいました。(夏との2冠は)できすぎですね。本当に選手たちに感謝したいと思います。ただ、これで終わりじゃない。これから先、もっとレベルを上げていかないと。体の強さもつけて、技術レベルも上げていかないといけない。

神戸JY・⑨松田猛
3年間の最後の大会で、みんな気持ちが入っていた。優勝できてすごくうれしいです。自分は調子が上がらず、今日が今大会初めての得点でした。ただ、大事なところで点が取れたのでうれしいです。

神戸JY・⑱岩波拓也
後半足が止まりかけたけど、声を掛け合って、気持ちを入れてプレーしました。2点目が取れてよかったです。夏、冬連覇のために頑張ってきました。この仲間でできる最後の試合。こんな多くの人たちの前でプレーできて、幸せでした。

神戸JY・⑯小西智貴
今日は気持ちが入っていた。3年生は最後の試合。点を取りたいと思っていたので、取れてよかった。チームに貢献できてよかったです。

札幌U-15・名塚善寛監督
立ち上がりからプレッシャーやスピードで上回られて、ちょっとびびっちゃっている部分があった。相手を受けてしまって、もうちょっと前半チャレンジしてもよかった。レベルの差を選手たちはグラウンドの中で感じたのではないかと思う。北海道では味わえない体験。こういう経験を忘れないで、本当に次につなげてほしい。

札幌U-15・⑩神田夢実
相手の右サイドの運動量があって、自分も守りに回ることが多く、攻撃に行く体力がなくなってしまいました。もっとがつがついければよかった。同点に追いついて行けるとは思ったんですけど、最後の1点が大きかったです。全国の選手と対戦できて、こういう雰囲気を味わえたのは大きな経験になりました。
※⑩神田は、チームメートの⑪下田と共に、8ゴールで大会得点王を獲得。

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