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菊地 さて、プリンスリーグですが、面白い選手、チームなど紹介してください。
安藤 では、北からいきますね。北海道は、帯広北に注目しています。ここのダブルボランチ、奥村優樹と坂見正明がいいんですよ。この2人は昨年から組んでいて、昨年はプリンスリーグで終盤まで1位だったんです。それが札幌ユースとの最後の試合で、0-1と惜敗して、3位になっちゃったんですよ。
北海道は道西のほうが、強豪が多いんですね。北海、室蘭大谷、札幌第一、旭川実、札幌ユース。それに対して、道東は帯広北しかいないんですよ。それで、この地域のいい選手が結構入ってくるようになって、どんどん強化が進んでいます。
菊地 なるほど。
安藤 東北は青森山田対山形中央のゲームを見たんですが、山形中央の2トップが面白かった。柏倉勇樹と宍戸勇紀というんですが、柏倉は、聞くところによると、スポーツテストの成績がこの20年で学校一番という身体能力のかたまりだとか。
あと注目が宮城の聖和学園。高校の女子サッカーでは、名門中の名門ですね。ここが2003年に男女共学になって、男子サッカー部ができ、強化が始まりました。鹿児島の神村学園や愛媛の済美と同じパターンですね。で、この聖和学園がラテンスタイルで、静岡学園とか野洲のようなサッカーをするんです。クリエイティブなプレーや個人技を融合させて、崩して、崩して、GKまでかわしてシュートするみたいな。元々宮城は塩釜FCやFCみやぎバルセロナなど、ジュニアユースのサッカーがすごく盛んなところです。その中からいい選手たちが聖和学園を選ぶようになって、面白くなってきています。
ただそれでも、やはり青森山田が抜けてますね。U-16代表の柴崎岳と中島龍基の他に、椎名伸志にもユース代表の経験がある。また、FWに見宝憂など、要所要所にタレントがいるんですよ。昨年のDFラインがごっそり変わって、そこはもろさなんですけど、攻撃力があるので、そこはカバーしてくると思います。
菊地 今、東北一のタレントというのは……?
安藤 柴崎じゃないですかね、やっぱり。彼は見えているところが違うというか。試合でもどんなときでもパッとボールを展開できで、すごくその視野が広い。
菊地 まだ1年生ですよね。昨年は青森山田中で中心選手でしたが。
安藤 その中3の時から、プリンスリーグや高円宮杯など高校の試合に不動のレギュラーとして出ていました。
菊地 そこは、中高一貫でやっているところのいいところですよね?
安藤 そうですね。ただ、そこに関しては、疑問に思っているところもあります。結局、中高一貫教育っていうのは、中学時代に選手を集めて、そのまま高校に上げますよと。ただ、Jクラブの場合は、ジュニアユースからユースに上げるときに、ふるいにかけられるわけです。今、Jクラブのユースって、下のジュニアユース上がりって意外といないんですよ。某チームなんかは、ジュニアユースの段階で、何百人っていうセレクションの中から、十何人選んだにもかかわらず、ユースへは3~4人ぐらいしか上がらない。
それを考えると、まあ学校によっても違うんですが、中学を強化したからといって、単純に高校が強くなるかといったら、そうではない。一時的には強くなるんですよ。たまたま中学で優勝した代が、大量に高校に進んだから強くなったとか。でもそれは長続きしないんですよ。
菊地 なるほど。中学のときは集めて、3年になったときに結果は出すかもしれないけど、その代の全員が高校に上がってもうまく成長するかはわからない。でも、学校としては、面倒見なきゃいけないと。
安藤 全員上がってくるかというのも、学校によって違う。青森山田は中学では選手を集めてないんです。実際、高校にもあまり上がらなかったですよ。高校では青森山田では試合に出られないという判断らしい。
逆にJクラブでも、エスカレーターのように、ジュニアユースからユースにそのまま上がらせるようなところもあります。ただ、ほとんどのクラブはそこで一度ふるいにかけられる。そこを多くの人はわかっていないと思いますよ。
菊地 だから、Jクラブの考え方としては、その段階でのトップをかき集めるっていうのがあるんじゃない? それがそのままうまく成長してくれれば、手っ取り早いと。
安藤 その年代のトップクラスがユースに流れるっていうのは、それはあながち間違いじゃないと思います。ただその言葉だけで片付けてしまっていいのかどうか。トップクラスは全部ユースに流れるっていうけど、トップクラスってほんのわずかですよ。逆にそのトップクラスに入れない子が大半を占めるわけです。その状況の中で、ではトップクラスだけ大事にすればいいという理論は成り立たない。だって、中村憲剛だって、中澤佑二だって、鈴木啓太だって、ユースではこのトップクラスに入ってなかったですよ。でも、今は日本代表なんですから。
要するに、トップクラスでない層を、どうカバーするかという点で、高校ともっと門戸の広いクラブユースが必要なんです。そのときのトップの選手が全部流れたから、やはりJクラブがいいんじゃないかっていうのは、本末転倒。じゃあ、その一握りが、全員順調にプロになって、Jクラブの主力になって、日本代表になるかなんてわからないじゃないですか。
菊地 やはりそこは選ばれちゃうと、将来そうなるんじゃないかという雰囲気になってるよね? だけど実際には、プロになれるのも高い確率ではない。でも、果たしてそれは適正な確率なのかどうか。いい素材が集まったはずなのに、あまりにもその素材をムダにしすぎているのではないかと、Jクラブの育成に今批判が出ているのは、わかる気がするんですけどね。
安藤 基本的にどっちがいいとかではなくて、その選手がどこを選ぶかなんですよ。そこに視点を変えないといけない。指導者が子どもにじゃなくて、あくまで子どもが指導者に何を求めるか。俺はちょっと精神的に弱いから、高校の先生の下、ビシビシやってもらいたい。俺は、しばられたくないからJクラブで頑張りたい。それは、子どもの判断だと思うんですよ。実際にユース代表クラスの子が、Jクラブの誘いを蹴って、高校に行くケースも出てきています。子どもが自分の性格、サッカースタイルに照らし合わせて、どこの道に進むのかをもっと理解する。そのためのこういうメディアもあると思うんですよ。メディアが、片一方だけがいいですよって言ったら、それこそ間違いが起きます。
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