| 初期天王山を終えて……。スシボンバーは? エンゲルスは? 闘莉王は? |
清水 そろそろ、勝てるチームと勝てないチームの差がハッキリ出てきましたね。開幕から3節ぐらいまでは番狂わせが頻発していたけど、やっぱり6節ぐらいになると、落ち着いた順位表になってくる。
菊地 6節の「浦和対鹿島」、あれは初期天王山みたいな感じかな?
清水 行ってきましたよ、その試合。浦和でいちばん面白かったのは高原直泰だったかなあ。
一同 高原!?
清水 だって、ドイツで活躍して世界に名をとどろかせた「スシボンバー」が、体は十分に動けているのに前半のみで途中交代。その代わりに、腰痛を抱えて90分プレーできない永井雄一郎が出てきて、ご存知のとおりの2ゴールを挙げてヒーローですよ。高原にとってこれほどの屈辱はないでしょう。あのスシボンバーが、今ではカッパ巻きに見えてきちゃう(笑)。
菊地 そういう意味で面白いと、なるほどね(笑)。そういえば勝った浦和は、まるで決勝戦みたいな雰囲気だったよ。エンゲルスの喜び方もすごかったし……。
清水 そのエンゲルスについて、最近ふつふつと興味が沸いてきているんですよね。モチベーター系の監督であるのは間違いないんだけど、何か他の指導者にはないものを持っているような気がする。
中林 もともとは、滝川二高のコーチをやってたんですよね。黒田和生先生の片腕って感じで。だから全然メジャーじゃなくて、叩き上げた人ですよね。
菊地 僕は最初、ストライカー編集部に入ったときに横浜フリューゲルスの担当になったのね。エンゲルスが高校から上がってきた選手たちに対して、基本を叩き込む練習に付き合っていたのをすごく覚えているよ。フリューゲルスがなくなるときの天皇杯で感動的な試合もあったし、京都が優勝したときもびっくりしたし、カップ戦にすごく強いっていう印象があるよね。
岡田 でも、崩れると立ち直せないイメージもありますよね(笑)。乗ると強いけど……。
菊地 浦和は、タイトルの一つは獲りそうな気がする。ACL(アジア・チャンピオンズリーグ)か、ナビスコカップか、天皇杯か。カップ戦の3つのうち1つを獲りそう。
岡田 浦和は今年はACLもトーナメントだけですからね。そういう大会には強そう。(前回ACL優勝の浦和は、グループリーグを免除される)
菊地 獲りそうだね。さすがエンゲルス、何か「もってるな」という感じでね。ただ、鹿島戦に限らず、毎試合が決勝戦みたいな戦い方をしちゃうから、田中マルクス闘莉王がケガしたときどうする? っていう心配はあるよね。
岡田 いや、闘将はケガをしない(笑)。
菊地 それでも、どこのポジションでも効く闘利王を、ああいう使い方をするっていうのは1つのアイデアだと思う。試合に対して、いちばん効くのがどこなのかっていう考え方。極端な話、アウトサイドで使ってもいいと思うんだよね。左のアウトサイドに相手のキーマンがいたら、そいつを抑えるために右のアウトサイドに闘莉王を置く。浦和のメンバーはみんなレベルが高いけど、飛び抜けて決定力があるっていうのは闘莉王でしょ。それをどこで使うのかを考えるのは面白い。
清水 そこがまさに、エンゲルスがカップ戦に強いというゆえんじゃないですかね。普通の監督なら、リーグ戦については「年間34試合のうちの1試合」という大局的な見方をしますから、奇策というか、その1試合のみを勝ちにいく作戦を嫌うと思うんですよね。だからほとんどの監督は、「まずは自分たちのサッカーをすることが大事」ということを口癖のようにいう。ところがエンゲルスの場合、その1試合だけを見て、この試合で勝つため、そのためだけに闘莉王をトップ下に入れる、という奇策を思い切って打ち出してくる。それこそが、カップ戦に強いといわれるゆえんだと思いますよ。
中林 試合前には、「闘莉王はFWか?」っていわれてたじゃないですか。その情報から、すでに相手を惑わせてますよね。
清水 闘莉王がFWとなれば、相手も対策が必要ですよね。身長の小さなセンターバックを使いづらくなる。けどフタを開けてみたら残念! トップ下でした、なんてだまされたりする。ゲリラ的な指揮。エンゲルスの個性はなかなか味わい深いかもしれませんよ。
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