決勝
12月9日(日)/13:00キックオフ/千葉県・柏の葉公園総合競技場/観客8513人/試合時間80分
流通経済大柏 1(0-0、1-0)0 市立船橋 |

今年の高校総体チャンピオンの市立船橋と、全日本ユースチャンピオンの流通経済大柏の対戦となり、大きな注目を集めた千葉県予選の決勝。立ち上がりから攻め込んだ市船が、前半を優勢に進めたもののゴールを決められず。後半は流経大柏もチャンスを作り、一進一退の攻防となった。しかし、延長戦に入るかと思われた試合終了間際に、流経大柏は24久場光がドリブル突破してシュートし、GKが弾いたところを⑱上條宏晃がゴール右隅へ流し込んで劇的な決勝ゴール。2年ぶり2度目の全国大会出場を勝ち取った。 |
「リュウケイ、テンション、アゲ・テケ・ヨ!」
「イチリツ、フナコウ、V・I・C・T・O・R・Y!」
両チームのボリュームある応援合戦が繰り広げられる中、多くの関係者、家族連れ、子ども、そして同世代の学生たちを会場に集め、いかにも高校サッカーという独特の雰囲気をプンプン振りまきながら、名勝負を期待された注目の一戦が行われた。
メインスタンドから見て、左から右。やや強く吹いていた北風に、前半、右側の風下のエンドになった流経大柏はややペースを乱された。ボールがものすごく戻されるわけではないのだが、縦へ長いのを蹴っても思ったほど前へ飛ばないために、布陣全体を押し込んで前からボールを奪いに行く、得意の形が出せないでいた。
反対に市船は、3分に右からのクロスを⑪富田学が惜しいヘディングシュートを放って(GKセーブでCKに)、序盤からペースをつかんだ感じだった。ゴール前へ攻め込むシーンは、お互いに同じくらいの数はあったのだが、やはり流経大柏がらしさを出してないせいもあり、多くの人が市船優勢と感じていたと思う。市船は28分にも、左CKをGKがかぶったところ、ファーサイドから⑨若狭友佑がヘディングシュートを打ったが、ゴール外へ外れる惜しいシーンもあった。
流経大柏の本田裕一郎監督は、「風がこんなにあるとは思わなかった。ただ、前半風下になったが、もしかしたらこれが功を奏するのではないか。厳しいけれど、耐えられればチャンスかなと思った」という。そして、市船の石渡靖之監督も、流経大柏が前半に点を取る従来の勝利パターンを知っているだけに、「前半点を与えなければ、こっちが取れる」と踏んでいた。しかし、「選手たちには目に見えないところで大舞台の緊張感があり、入るところが入らなかったのかも。今日はそこが勝負を分けるという部分を痛感した」とも語った。
後半の最初は、前半と同じような展開ながら、立場が入れ替わった。市船のペースが落ちた感じになり、流経大柏は、3分と9分に⑨小島聖矢がフリーでシュートを放つなど、惜しいシーンが増えた。16分には24久場光、25田口泰士を交代で前線に入れる、お馴染みの2枚交代。それまで2トップだった⑩大前元紀と⑱上條宏晃はサイドMFへ開き、4人で「ポジションチェンジを頻繁に行う」という意図があるから、相当な前線の活性化になる。20分には速い展開から、⑱上條が右クロス。中央で小柄な24久場が、大柄な市船DFに競り勝ってヘディングシュート。GKがCKへセーブするチャンスがあった。
市船もFKを中心にチャンスを作り、36分には正面からFKがこぼれたのを、⑨若狭が右へ持ち込んでシュートしたが、流経大柏GK①須藤亮太が前に出て防いだ。そして両チームだんだんと疲れも見られてきて、延長戦へ行くかという雰囲気となってきたところで、流経大柏が決勝ゴールを決めたのである。
本田監督から「ペナルティーエリア内のドリブルは絶対に崩せるから」と言われていた24久場が、そのとおり積極的にドリブルを仕掛けたシーンだった。敵の逆を取るように緩急をつけた動きから縦へボールを引きずり、敵の足に一瞬ボールが引っかかったものの、強引に持ち込んでシュート。GKが弾いたこぼれを⑱上條が詰めた。
舞台が舞台だけに、もちろん緊張でお互い硬くなった部分はあっただろうし、敵の激しい守備に持ち味を出せない時間帯は多かった。それでもその中でお互いに少なくないチャンスを作り合ったことに、両チームのレベルの高さを感じたのも確かだ。流経大柏は、今年の日本サッカー界の流行語大賞である「人もボールも動くサッカー」を掲げ、ボールホルダーを追い越していくランニング、あるいは決勝ゴールの場面のようなドリブル突破など、縦への積極性を出して局面を打開した。市船はサイドからの鋭いクロスや、ドリブル突破といった迫力のある攻撃を中心にして、久々にチームとしてスケールの大きさを感じさせた。
結果的には交代選手のコマ数の差で、決まったともいえるゲームだったが、それでも勝敗の行方は紙一重の感じで、ここが今季ユースサッカーのクライマックスと見る向きも大いに納得できる好勝負だった。それだけに、なぜ2チームとも全国へ行けないのかという嘆きも多く聞かれそうで、一発勝負の寂しさを感じるところ。何はともあれ、決勝が遅かっただけにじっくりと研究されながら、他チームとは1カ月も少ない準備期間で、全国へ臨む難しさを抱えた流経大柏に注目すると共に、今季の市船の素晴らしさも忘れないことが、サッカーファンとしての務めなのだろう。 |