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トップマッチレポート>高円宮杯第18回全日本ユース 流通経済大学付属柏高校-サンフレッチェ広島F.Cユース
Match Report マッチレポート
2007/10/9

高円宮杯第18回全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会

安藤隆人(サッカージャーナリスト)、菊地芳樹(本誌) 構成
ユース界の秋のビッグトーナメントとして定着した、高円宮杯全日本ユース選手権。今年もたくさんのハイレベルなチームがしのぎを削りました。今回は、この世代のサッカーを緻密に取材している、「ユース教授」こと安藤隆人氏をお迎えしての対談レポート。決勝と大会を振り返ると共に、近年複雑化しているユースサッカー事情を整理します。

決勝
10月8日(祝)/13:00キックオフ/埼玉県・埼玉スタジアム2002/観客10409人/試合時間90分
流通経済大学付属柏高校 1(0-0、1-0)0 サンフレッチェ広島F.Cユース

得点者
(流)小島
ゲームのあらすじ
立ち上がりから流経大柏が数多く攻め込んだものの、広島もよく守って20分過ぎからゲームは膠着状態に。しかし、後半に入って52分に、流経大柏が先制点。⑧村瀬勇太のスルーパスに走り込んだ、⑩大前元紀の左からのクロスがニアサイドへ転がり、⑱上條宏晃と広島DF、GKがポイントに突っ込んだが誰も触れずにボールは流れ、ファーサイドでフリーの⑨小島聖矢が押し込んだ。その後、1点を追う広島が前に出て行ったが、ボールの行き来が激しくなり、スペースができると、むしろ走力を生かせる流経大柏のリズムに。そのままリードを保ってタイムアップとなり、歓喜の優勝を決めた。

STRIKER DX名物 対談レポート
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攻め切るスタイルで勝利した流経大柏
持ち味の出なかった広島

菊地 何か安藤さんは、春からこの流経大柏を推していたとか。

安藤 そうなんです。春から流経大柏は、このスタイルを掲げてチーム作りをしていたんですが、選手たちがこのサッカーでいけると確信したのが、プリンスリーグのFC東京戦(第5節、5月6日)だったんですね。3-1のスコアで、大前元紀(今大会は8ゴールで得点王)がハットトリックしました。
  このチームの特徴は、今大会の準決勝、決勝でも見られたように、リードしても攻めきることなんです。FC東京戦の前節の浦和戦では、2-0とリードしながら追いつかれて2-2の引き分け。そういうこともありながら、FC東京戦では点を入れても、反撃されても攻め切って勝てた。素晴らしい出来だったんです。ここでチームがぐっとまとまった感じでしたね。

菊地 準決勝、決勝と、レベルが高い相手にも関わらず、何度かシンプルで素早いパス交換で敵を翻弄して、ゴール前に殺到していくシーンがあった。それを見たときに、ああこれが理想の形なのかと思ったし、その形は見ていて面白かった。夏の高校総体の準決勝(●1-2星稜)をテレビで見たときは、あまりよくなかったらどうなのかと思っていたんだけど、後で聞くと、このときは最悪の出来だったとか……。

安藤 あのときは先制しながらも、星稜に持ち直す時間を与えてしまったんですね。だから敢えてチームの課題を挙げるとすれば、その点なんです。今日の決勝でも、広島に立ち直る時間を与えてしまった。そこは改善すべき点なのかなと。

菊地 まあ、その点はやっぱりマイボールにしている時間が、クラブユースのサッカーに代表されるポゼッションサッカーに比べると、圧倒的に少ないよね。だから今大会なんかは、相手がクラブチームだから逆に自分たちの特徴が出ているようなところもある。今後相手がボカスカ蹴ってきて調子が狂っちゃったり、持たされちゃったりしたときにどうするかというのはあるね。

安藤 そこは永遠のテーマですね。ただ、本田裕一郎監督が、ここまでやり方を変えずに育成を大事にして、選手の特徴をつかみながら我慢してチーム作りを進めてきて、こういう結果になった。すごくよかったと思いますね。

菊地 一方で、広島のほうなんですけど。

安藤 ちょっと残念でしたね。この年代で、1試合の勝ち負けをどうこういうのは、あまり好きではないんですけど、敢えてこの決勝に関していうと、ちょっと選手起用に迷いがあったのかなとも思いました。この試合は右サイドバックの小西和樹が警告累積で出場停止だったんですね。実はこの右サイドに代えがいなくて、今日入った宮本将は本来センターバックの選手。でもセンターの佐藤拓は、昨年ずっと右サイドをやっていたんです。その中、森山佳郎監督の選択は、記者会見でもいわれていたように、これまでずっと固めていたセンターの佐藤と篠原聖のコンビネーションを崩さずに、流経大柏の強力な2トップ(大前、上條宏晃)に対応しようとした。

菊地 なるほど。

安藤 でもそれで、3トップをサポートする、右サイドの攻撃が期待できなくなったのかなと。最後でいつもの森山さんらしくない、ちょっと弱気な采配だったのかな。

菊地 僕が気になったのは、攻撃面だった。3トップ+トップ下の横竹翔のダイヤモンドが、後ろからボールを引き出して、自由に動きながら個人を生かしてという攻めを狙っていたようだったけど、準決勝、決勝と、うまくいっていない印象があった。というのも前でボールが収まるのが、動き出しのいい大崎淳矢のところしかないんだよね。ところが、その大崎もボールを引き出してからは、うまくいかないシーンが多かった。
  僕は準々決勝はFリーグの開幕戦に行ったために取材できず、そのときの試合で広島がガンバ大阪を圧倒したと聞いていたから期待したんだけど、なかなかうまく見届けることができないもんだね。結局、広島の調子がいいときは、前の4人がどう絡むのかを、見ることができなかった。悩ましいな。

安藤 広島は内田健太と岡本知剛のボランチのコンビが、非常にいいプレーをするんですね。彼らがいるから、前の4人が思い切って攻撃することもできる。でも、準決勝では名古屋にすごく引かれて、前線が渋滞してしまったと。そして決勝では、流経大柏がこの2人を徹底してケアした。

菊地 本田監督も「ボランチにタイトにつくところから始めた」といっていたね。

安藤 だから広島は持ち味が出なかったですね。

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