第6回 特別寄稿 高校選手権決勝戦展望 [ページ3/4] |
白熱の好ゲームの予感
対する藤枝東ですが、さすがサッカー王国静岡の代表だけあって、レベルの高いチームです。
近年優勝争いに絡むことはありませんでしたが、決して藤枝東のレベルが落ちているわけではありません。浦和で活躍している長谷部誠や山田暢久をはじめ、成岡翔(磐田)や赤星貴文(浦和)など高校時代から注目を集めていた逸材を常に擁していました。
それは藤枝東だけではなく、静岡学園や清水商なども同じです。
それでもここ数年、静岡勢が上位に名を連らねられなかったのはどうしてなのか?
その理由は、まず、Jクラブの存在が挙げられます。
静岡には清水と磐田というJクラブがあり、優秀な人材はこの2チームに集る傾向があります。
これは静岡に限らず、関東をはじめ全国に共通している傾向ですが、静岡の場合はこれに加えて高校の有力チームに選手が分散するという事情があります。
それでも静岡のチームが地力で他を上回っているのは変わりありません。
しかしそれは、かつての圧倒的なまでの差ではないのです。
11人のベースがいくら高くても、守り切ろうと思えば守られてしまうレベル。それが最近の静岡勢であり、早い段階で敗退する理由でした。
ではなぜ今回は決勝まで勝ち進んでこれたのか?
それは、優秀なストライカーの存在があったからです。
準決勝までの4試合でゴールを挙げた河井陽介という存在なしに、今回の藤枝東の活躍はなかったと思います。
思えば、静岡勢が選手権で優勝したときには、必ず素晴らしいストライカーの存在がありました。藤枝東でいえば、松永章、碓井博行という類い稀なストライカーがいたときに全国を制覇したのです。
私の経験からいわせてもらえば、11人が平均的に8の力を持っているチームより、平均は7でも傑出した10の選手が1人、2人いるチームのほうがよりよい結果を残すことが多いものです。
静岡の場合、11人の能力は常に高い。それでも10の選手が1人もいないときは、力では劣る相手に接戦に持ち込まれて負けてしまうことがある。しかし、特にストライカーに10の選手がいるときは強い。
今回の藤枝東は、河井など3、4人の選手は10の力を持っていて、他の選手も高いレベルを持っている。だから決勝まで来れたのだと思います。
もちろん、流通経済大柏に勝機がないわけではありません。
なにより、この1年間で、高校総体や春夏のフェスティバルで4回対戦してすべて勝利を収めた事実が、流通経済大柏優位を後押しします。
4回の対戦のうちで、もっとも接戦になったのが、高校総体3回戦でした。
スコアは1-0。
しかし、流通経済大柏にとってピンチらしいピンチはなく、結果は妥当なものだったと思います。
それ以外の3回の対戦では、ほぼ一方的な展開で完勝したと記憶しています。
それでも、流通経済大柏の勝利を確信しているわけではありません。
なぜなら、これまでの4度の対戦では、藤枝東のコンディションが万全ではなかったかもしれないからです。
藤枝東には候補を含めて U-18日本代表選手が4人いますが、流通経済大柏はゼロ(最近になってようやく大前が選ばれましたが)。
流通経済大柏がいつもほぼベストメンバーで臨んだのに対して、藤枝東は代表合宿などで主力が不在のことが多かったと聞いています。
高校総体のときは両チームともほぼベストの布陣でしたが、主力が不在がちな藤枝東は、流通経済大柏に比べてチームが完成していなかったかもしれません。
だから今度の試合では、これまでのデータはあまり参考にはならないでしょう。
まして、一発勝負の決勝戦では、何が起こるかわかりません。
準決勝からの1週間のインターバルを有効に使い、よりよいコンディションを作ったチームが有利だと思います。
私の予想では、実力伯仲の両チームが1点を争う好ゲームを演じるでしょう。スコアは1-0、2-1といった接戦。共に、先制されて切れるようなチームではないので、最後まで手に汗握る展開になるはずです。
もちろん運不運もあるでしょうが、怖いのはミス。ミスが勝敗を分けることも考えられます。
しかし、国立という舞台は、高校生の集中力を最高レベルまで高めてくれます。
ミスのない、素晴らしい決勝戦を期待したいものです。
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