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古沼貞雄 情熱 著: 元川悦子
古沼貞雄 情熱
著: 元川悦子
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高校選手権へのリーグ戦導入に向けて アンケート集計結果発表

第6回 特別寄稿 高校選手権決勝戦展望 [ページ2/4]

大前の不調が響いた前半戦。準決勝でようやく復調

迎えた初戦(2回戦)の久御山戦。不安が的中して、先制点を許す最悪の立ち上がりでした。
その後もリズムは戻らず、「0-1のままハーフタイムを迎えたくはないな」と考えていたら、39分に同点ゴールが決まりました。
いつもの得点パターンではなかったという点で、ラッキーなゴールだったといえます。

後半13分にPKを得ましたが、このとき監督の本田さんは「外すんじゃないか」と思ったそうです。それほどリズムが悪かったということでしょう。
幸い本田さんの予感は外れて大前が決めましたが、リードをしても本来のリズムは戻りませんでした。冷や汗ものの初戦突破でした。

3回戦の北越戦でも、立ち上がりはよくありませんでした。右サイドバックの中冨の、おそらく公式戦初となるゴールが決まっていなかったら、もっと苦労していたはずです。初戦に続いて幸運な勝利でした。

しかし、2試合勝つうちに、少しずつ調子が戻ってきました。
続く東福岡戦は、得点こそ奪えませんでしたが、内容としては前2戦を上回っていました。
この試合は、PK戦になることを覚悟して臨んでいました。
試合の前に、選手にこんな話をしたのを覚えています。
「優勝するためには、今日が大きなヤマになる大事なゲーム。PK戦もあるかもしれない。本田監督とオレにお年玉をプレゼントするつもりで頑張って勝ってくれ」
選手たちは見事に期待に応えてくれました。

ここまで苦戦が続いた原因の1つは、大前の不調でした。
実は大前は、初戦の前に腹痛を起こし、病院に行ったのです。疲れがあったのだろうし、精神的なものも影響したのでしょう。
痛みを薬で抑えながら試合をこなしていた大前でしたが、本調子とはほど遠い出来でした。北越戦でも、シュートは数多く打ちましたが、決めることはできませんでした。
「お前が点を取らなくても、アシスト役になってくれればいいよ」と本田さんは大前にいっていましたが、負けず嫌いな彼は「なにくそ」と思っていたはずです。
ようやく体調が戻ってきたのは、準決勝になってからでした。ご存じのように、津工を相手にしたこの試合で4得点。エースが復活したのは、流通経済大柏にとって明るい材料です。

大前という選手は、天性の得点感覚を持っているストライカーです。点を取れそうなところに顔を出す感覚は素晴らしいものがあります。これは、教えられて身につくものではなく先天的なもので、誰もが持っているものではありません。
1年生のときから目立つ存在で、流通経済大柏が初出場を果たしたとき、「大前も登録したほうがいいよ」と本田さんに進言したのを覚えています。最終的に本田さんは、上級生を優先しましたが……。
大前のもう1つのいいところは、サッカーに取り組む姿勢です。
エースともてはやされるようになると、練習に手を抜くような選手もいるものですが、彼にはそういうところが全くありません。
いつも早くグラウンドに出て、率先して練習しています。常に前向きで練習好き。他の選手の手本になっています。

練習が好きという点では、帝京から浦和レッズに進んだ田中達也も同じでした。彼もまた小柄なFWで、大前と非常によく似ています。
どこかの新聞で、「大前は田中よりも上」と私がコメントしたように書かれていましたが、そんなことは言ってません(笑)。
ただ、この時点(高校3年時)のシュート力に限っていえば、田中よりも大前のほうが上とはいえると思います。

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