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『中1のとき「将来どんなすごい選手になるんだ」と思う選手が、
いつの間にか消えていなくなる』(林)
古沼
高校サッカーにも問題はあるけど、クラブチームにも問題は多いね。
例えば、小学生や中学生が練習を始めるのは午後6時、7時で、ひどいと7時半。
それから1時間半練習して家に帰ると10時や11時になる。食事して風呂に入ったら寝るのは12時、1時。
そんなのを3年も6年も続けたら、サッカーしかできない人間になる。
それに、そういう生活を送ったら、結果的にはサッカーも伸びないことが多い。
そういう子は、早くからいろいろ教わるからうまいんだけど、伸びない。
足が遅かったり、体が硬かったりする。
中学1、2年のときにピークがきて、3年くらいになると、周りに追い越されていく。
中にはそういう生活を送りながら勉強もできる子もいるけどね。
林
確かにそういう早熟な子は多いですね。
中1くらいのときは「将来どんなすごい選手になるんだ」と思うくらいだけど、いつの間にか消えていなくなってる。
特にクラブにそういう選手が多いように感じる。
学校のチームだと、先生が怒ったりしてくれるからまだいいんでしょうね。
古沼
特に、小学校のときから周りにエースだとチヤホヤされてきた選手は伸び悩む傾向がある。
周りが大事にするのがいけないんだ。
「大事にしちゃあダメだ」といってるんだけど。
これまで、ジュニアユースやユース時代に注目されながら、順調に育たなかった選手は、本当に多い。
それはやっぱり、育て方を間違えたことが大きいんじゃないかと思う。
サッカーばかりやらせていてはダメなんだよ。
学校の成績だけが問題じゃなくて、少年は少年らしい規律のある生活を送ることが大事なんだ。
成長していく過程で、日本の文化や伝統といったものも身につけていくことで、サッカー選手としても大きくなれる。
トレーニングと日々の生活。その両方をしっかりとこなしていくことが、選手として成長するには必要。
そして、ケガを恐れないでしっかりトレーニングすること。それ以外に強化の方法はないんだから。
林
大人が若い選手をダメにしちゃってますよね。
Jリーグもトレーニング不足かもしれないけど、(母校の)早稲田も同じですよ。
うちの卒業生に聞いたら「走ってますよ」っていう。
「暁星と比べてどうだい」と聞いたら、「そりゃあ暁星のほうが走りましたよ」って。
バカいってんじゃあない(笑)。
「暁星なんか、国見や帝京と比べたら全然走ってないんだよ」っていってやりましたよ。
古沼
帝京で39年やってきて、「なんで帝京なんかで勝てたのかな」と考えるけど、何のことはない。
他のチームが走らなすぎ。それだけ。
今もいろんなチームを見るけど、昔の帝京に比べればどこも楽なものだよ。
林
先生は人間のことがよくわかっている。
人心掌握術に長けている。
私にしても、どうしても楽なほうへいくことがある。苦しいのはいやだから。
それが普通。
でも先生は、自ら率先して苦しいことをやってきた。
そこがすごいですよ。
古沼
いやいや。
暁星も、これだけの進学校でありながらサッカーで実績を残しているのはたいしたもの。
林
去年選手権に出場したメンバーのうち、2人が現役で一橋大学に合格したんです。
他に、早稲田や慶応に進学したのもいます。
うちのような学校は、そういうところで取り上げてもらうしかない(笑)。
暁星は、高校からは受験できないんです。
小学校から上がってくるか、中学で受験して入るか。
暁星でサッカーやりたいという小学生が何人も私のところにくるんですけど、「受験して合格してください」としかいえない。
ほとんどが入れない。でも、入ってきた選手はよく頑張ります。
去年の選手権でいえばスタメンの11人中、小学校出身は3人だけで、あとは全部中学から。
前田も中学からでした。
あいつくらいやれるんだったらプロになってもいいですけどね。
でもそうじゃなければ、長い目で見れば早稲田や慶応にいったほうが稼げるんです(笑)。
林義規監督
暁星高、早稲田大のストッパーとして活躍。
早稲田大では、加藤久(京都GM)、西野朗(G大阪監督)、岡田武史(前横浜監督)とともにプレー。
78年に母校の暁星高に赴任して以来、サッカー部の強化に務め、高校総体ベスト4(84年)、高校選手権ベスト4(89年)などの成績を収める一方、大倉智(元柏)、前田遼一(磐田)など数々のJリーガーを輩出した。
現在は、全国高体連技術委員長、日本サッカー協会技術委員を兼務している。 |
昼間聡欣(本誌)取材・文
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