| 日本代表のオーストリア遠征の取材に行ってきた北が、取材先での出来事を振り返っていきます。行く先々でトラブルを巻き起こす「ミスター珍道中」として名高い北。果たして今回はどんな旅になったのか!? |
9月7日 ドイツ・フランクフルト→オーストリア・クラーゲンフルト
フランクフルトからクラーゲンフルトまでは、プロペラ機に乗って行った。50人も乗ればいっぱいになってしまうぐらいの大きさだ。飛行機の座席が3番目と、やけに前のほうだと思ったらそういうことだったのか。1時間ほどで目的地に到着。乗り心地については、席に着いてすぐに夢の中へいってしまったので覚えていません。
クラーゲンフルトの気候は現地に先に入っている人から「寒い」と聞いていたけど、日差しが強いこともあって、長袖のパーカーを羽織っていると「暑い」ぐらいだった。だけど、日陰に入るとひんやり涼しい。ヨーロッパの中ではリゾート地として人気が高いらしく、日本の軽井沢のようなイメージだとか。
フリーライターのN氏、カメラマンのT氏と一緒にタクシーでホテルへ。N氏が泊まるのはクラーゲンフルトの名所であるヴェルター湖に程近い場所にある、ペンション風のホテル。N氏を降ろしてから、ヴェルター湖を眼下に眺めつつ、中央駅近くの僕たちの宿泊先へと向かった。
ホテルで一息ついたら、オーストリア戦の行われるスタジアムへ行くことにした。そういえば、まだユーロを持っていないことに気づく。中央駅のほうまで行って、クレジットカードでお金を引き出すことにした。とりあえずの軍資金としてATMから400ユーロ(約6万4000円)を引き出そうとするが、カードがビーッと吐き出されてしまう。「あれ?」。何度やってもダメだったので、試しに200ユーロ(約3万2000円)にしてみると引き出せた。
そう、限度額オーバーです、はい。僕のVISAカードの上限額は30万円。飛行機代の約20万円を払ったのが運のつき。なおかつ、マスターカードやJCBは持ってき忘れたので、本気でお金がない。次の日にカード会社に連絡して臨時で限度額を引き上げてもらって、事なきを得ましたが……。トラブルの連鎖反応が起こっているとしか思えません。
で、会場のスタジアムまでは中央駅からバスで行ったんですが、これが道をグルグルグルグル回っていつまでも着かない。何だかんだで着いたのは中央駅を出発して1時間後。到着してその理由が判明。会場周りにはキックオフ2時間前だというのに、ものすごい数の人、人、人。これならスタジアムの周辺が大渋滞になるのもわかります。スタジアムのこけら落としということで、オーストリア人の興味はかなり高いようで、チケットも2万5000枚が完売しているとのこと。
スタジアムはまだ建設中らしく、スタンドの一部分は未完成のまま。前日練習を取材した記者さんによれば、練習中も工事の音が鳴り響いていたらしい。「こけら落とし」って、普通、スタジアムができてからやるもんじゃなかったっけ?
試合前には華々しい開幕セレモニーも行われ、気分的には盛り上がったものの、ゲーム自体は0-0のスコアレスドロー。……かと思ったら、引き分けの場合はPK戦で決着をつけるらしい。しかも、PK戦では今野泰幸、中澤佑ニが外してアジアカップから3連敗を喫した。それでも、この大会の勝ち点はPK勝ちは2、PK負けは1となっているので、日本は勝ち点1を獲得。
試合後はタクシーに乗ってホテルへ。助手席に座っていたカメラマンT氏にお金を払ってもらっている間に、僕はトランクに入れていたT氏の荷物を降ろした。カメラバッグの他にもカバンと上着が積んであったのでそれも降ろす。そのままホテルの部屋に戻って一息ついていたのだが……。
車から持ってきたカバンと、よく似た黒いカバンが部屋に置いてある。「あれ? これTさんのカバンじゃないんですか?」「オレのじゃないよ」。ガビーン! タクシー運転手がトランクに積んであったカバンを持ってきちゃった……。しかも、カバンの中には命の次に大事なパスポートまで! 急いでフロントへ行って、レシートに載っていたタクシー会社に電話をかけてもらう。フロントのお姉さんに「あなたは優しいわ」といわれたけど、いやいや、パスポートドロボーの一歩手前でしたから!
オーストリアでの初日は最後までトラブル続きだった。
(続く)
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